ロピュマガジン【ろぐでなし】VOL3.

ろぐでなし VOL3

季節外しのホラームービーセレクション

昔から怪談話といやあ夏の風物詩、と相場は決まってはいるのだが
じゃあ、幽霊ってのは冬になればなったで冬眠する、
なんて話は一度だって聞いたことがないし、
ゾッとすると言う意味ではむしろ、真冬に聞く怪談ほど
臨場感というかなんというか、そそるものもあるまい。
凍えんばかりにガタガタ身を震わせ、血の気が引くなんてのは
これがホントのゾッとする話と言わずしてなんであろうか?
そんなくだらない話の枕はこのくらいにしておくとして、
『ろぐでなし』プログラムVOL3.では、一つホラー映画についての特集を
組んでみようと言うわけである。

とはいうものの、何も「ホラー映画」に詳しいわけでもなければ
別段好きなジャンルというわけでもない。
それなのに、ここにゴタクを並べるわけだから、それなりに覚悟はいる。
ちょとばかし恐ろしい。
最初に、釘を刺しておくつもりもないのだが、
長年にわたってホラー映画は好きじゃない、
自分から進んでみることはない、
などと少々大げさに公言してきたわりには、
近頃ややもすればホラームービーカテゴリーの映画に
無意識的に手が伸びてしまう傾向を自覚し始めていることもあるのだが
それはそれで、一応、機は熟した、と思うが故の特集である。

最近の話題作もそれなりに見てはいるが、
やはり個人的な嗜好は時代や空気に左右されないものを優先したい。
よって、何かに迎合したり、特別な意図はここに介在しない。
個人的に面白いと思うものを10本アトランダムに選別したまでである。
だから、さほど物珍しい作品があるでもないし、
それなりに、誰だって知っていることをグダグダ繰り返すことになるのかもしれない。

そもそもホラー映画に対するウンチクを語れる資格は有してはいない。
怖いものに対する興味はあっても、怖いものという感情に堂々向き合ったこともないし
興味本位に洗脳されたことも一度もなかったからだ。
しかし、これらの作品にはジャンルを超え、時代を超え魅了されてきたのは事実で
その想いを今回、あえてじっくり受け止めて考察してみようと思ったのである。

これをして、ホラーゆえの魔力なのか、はたまたホラーへの目覚めか。
そんなことはこの際どうだっていい。
映画はただ単に面白ければいいのだ。
そうした思いの先に、ホラーがあったまでだ。
はっきりいって、このジャンルは玉石混淆すぎる。
くだらないものも多いし、見るに値しないものも山ほどある。
ゆえに、はまった時はたまらない快楽があることにも気づき始めたのだ。
面白いものはとことん面白い。
だからこそ、自分の目をいつも以上に信じなきゃならない。
ここに紹介しきれないものの中にも、まだまだ思い入れのある作品はたくさんあるが、
それはまたおいおいやるとして、
ひとまず、季節外しのホラームービー10本をここにあげ、初動の想いのほどを書いてみた。
能書きはこれぐらいにしておこうか。

◆我が偏愛的ホラームービー10選・異境を超えるこれぞ恐れの美学

  1. これまで見たサイコーなサスペンスホラーはサイコで異論はない・・・アルフレッド・ヒッチコック『サイコ』をめぐって
  2. ほら見てごらん、因果のはての思う壺。凍って固まるホラームービー・・・スタンリー・キューブリック『シャイニング』をめぐって
  3. 怨讐の彼方に捧ぐ京マチ子の夜・・・溝口健二『雨月物語』をめぐって
  4. 憑かれしものの哀れなる狂態を巡って・・・小林正樹『怪談』をめぐって
  5. 悪魔をめぐる妄想と現実のちょっとばかし怖〜い話・・・ポランスキー『ローズマリーの赤ちゃん』をめぐって
  6. 洗脳、それとも無意識か? 卑しい心理に入り込む悪魔のバツゲーム・・・黒沢清『CURE』をめぐって
  7. ドン引き? 線引き? ボリシェヴィキ?・・・高橋洋『霊的ボリシェヴィキ』をめぐって
  8. 恐ろしきは人の闇、羊を数えて眠る病み・・・ジョナサン・デミ『羊たちの沈黙』をめぐって
  9. いじめられっ子、世にはばかることもなく・・・・・・ブライアン・デ・パルマ『キャリー』をめぐって
  10. 悪魔祓いで出世払い、悪魔に憑かれた男の狂気ホラームービー・・・ウィリアム・フリードキン『エクソシスト』をめぐって

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