人間の身体をコントロールしている自律神経というもののなかに、
「交感神経」と「副交感神経」というものがあって・・・
要は、そのバランスを崩したときに、人間は窮地に追い込まれる。
身体が発するSOS・・・とまあ、尤もらしく書いているが
ぼくは医学に明るくないし、ここでそんな話をしてもあんまり意味はない。
ひとつ言えることは、感覚を研ぎ澄まして、
雑念や雑音に惑わされることなく、心の風通しをよくしておかなきゃならない。
ぼくが考えているのはそれだけだ。
ボードレールの『悪の華』のなかにある「Correspondances ー交感」。
中身はだいぶ違うけど、でも、神経の作用という意味では共通点があるのかもしれない・・・
「万物照応」なんて言い方をするけれども、
ひらたくいえば、自然に対して感じるところの、嗅覚、触覚、
五感が奏でる相互的な反応とでもいえばいいか、
ちょっとややこしてくて難しい・・・
そのあたりは、ボードレールの記事であらためて、じっくりふれるとして、
この麗しき季節の風のなかに、ポエジーを感じるということ、
すなわち、それを体現した音、あるいは音楽を聞き分ける耳をもつことだといいたいだけだ。
あれこれ、小難しいことはさておき、軽くそんな音楽に聞き耳を立てたい。
Flicks:Frou Frou from『Details』
Graceland:Paul Simon from『The Concert in Hyde Park』
御年80歳のポール・サイモンだが、衰え知らず。これは1986年にリリースされた7枚目のソロ『GRACELAND』からのタイトルチューン。全世界で1600万も売れた名盤だ。で、これはハイドパークでのライブ盤『The Concert in Hyde Park』から。ルイジアナのザイデコと南アフリカの融合の熟成が改めて再現されていて素敵だ。
U-lite:Spangle call lilli line from『Nanae』
日本のイチオシ音響派、ポストロックなバンドSCLLのなかでも、じつに親しみやすいナンバー。この季節にぴったりだな。パンテーンのCMソングにも使われたっけ。
Talk to Me:Joni Mitchell from『Don Juan’s Reckless Daughter』
ジャコの雄弁なるベースプレイが最高。このあたりのジョニは神がかっておりました。ここではまるで会話しているように聞こえるのが不思議。ニワトリの鳴き声の掛け合いが素敵。ジョニとジャコの相性がいかにバッチリだったか・・・
Love Overlap:Ambitious Lovers from 『Greed』
90年代初頭、とんがったサウンドメーカー、アート・リンゼイとピーター・シェラーが組んだユニット「アンビシャスラバーズ」。今聴いてもカッコいい。結局アルバムは2枚出して解散。で、これはファースト『GREED』から。そのナンバーのなかでも、最高にご機嫌でポップなファンクチューン「Love Overlap」。コーラスが実にいい味を醸し出しているな。
yanokami :気球に乗ってfrom 『Yanokami』
気球に乗ったことはないんだけど、この曲を聴いていると、大空を行き交う鳥のように自由な思いにかられるな。風にどんどん流されて、どこまでもいける。アッコちゃんの声ととレイ・ハラカミのエレクトロニカの相性のいいことったら。
レイくんは、風に乗ってどこまでも遠くにいってしまったけど・・・
Samba Saravah:Pierre Barouh from 『Un Homme et Une Femme 』
バルーさんは詩人だから、その音楽は必ずしも爽やかだけではできていない。
時には悲しみ、哀愁、人生の酸い甘いを換骨奪胎して、一つの宇宙を形成する人。
この曲は、フランスからブラジルへと渡って真の自由人のみが共有できるSARAVAHの精神を宿した名曲だ。ルルーシュの『男と女』の中で使用されているが、原曲はバーデン・パウエ、歌詞はヴィニシウス・ヂ・モライス。ブラジルのミュージシャンたちの名前とスピリッツが風にはこばれてゆく。
映画からの引用は、バルーとアヌクの蜜月期の貴重なドキュメントでもあるんだな。
These Early Days:Everything But The Girl from 『Idlewild 』
永遠の青春、EBTGのアルバムの中でも、大好きな『Idlewild 』から「These Early Days」。なんだろうな、この爽やかで、晴れやかな、ウキウキ感ときたら・・・
トレーシーもベンも若いな。
Midnight in Harlem :Tedeschi Trucks Band from『Everybody’s Talkin’』
デレクとスーザン夫婦がそれぞれのソロにケリをつけて結成したテデスキ・トラックス・バンド。2011に『 Revelator 』をリリースした直後の各地のライブ音源をコンパイルした、すこぶるできのいいライブ盤『Everybody’s Talkin’』より、ぼくの大好きなテデトラナンバー「Midnight in Harlem」。イントロのデレクのギターがシタールのような響きに聞こえてきて、まさに悠久の音を奏でる最高のブルースバンドだってことを再確認する。
Carnival:The Cardigans from『Life』
トーレ・ヨハンセンプロデュースによる、日本でも大ヒットしたキュートなスエディッシュポップバンドのカーディガンズのファースト『LIFE』より。この曲で歌われるカーニヴァルとは、移動式遊園地のことで、ニーナ・パーションの歌う内容は、ちょっと切ない恋心ってわけだけど、実に胸キュンナンバーに反して、サウンドはご機嫌だ。
イモーゲン・ヒープとガイ・シグスワースによるイギリスのエレクトロニックデュオ、2002年に唯一のアルバム『Details』から、心地よいエレクトロニカに、イモーゲンの声が絶妙に絡んだフューチャリスティクなトラック。ジョン・ハッセルのトレンペットサウンドがサンプリングされているのかな?