我が家のセプテンバーソング定番セレクション:前編

september1

竹内まりやの懐かしの「セプテンバー」を聴いていると
「一番寂しい月」なんて歌われるものだから
切なくなってくるのだけれど
自分には一年の中でもっとも好きな月なのであります
紅葉ならぬ昂揚の季節。
ロマンチックムーンの下で、はみかむ文学少年少女たちよ、
今こそ羽ばたくときだ!
まさしくすみれセプテンバーラブ、というわけ。

なんとも馬鹿馬鹿しいミュージカル調。
まあ許してちょうだい。
自然にウキウキしてくるのですから。
いや、バカバカしくなんてないよね、
子供のうわごとのようにセプテンバーを
小鳥のように口ずさんでしまうのはどうしたものか。
はて、一体それは誰のセプテンバーソングだ?
ビリー・ホリデーか、ジェームズ・ブラウンか、チェット・ベイカーか。
多くのシンガーに歌い継がれた九月の定番ソング
クルトワイルの名曲「セプテンバーソング」は
歌う人が変わればそれぞれに個性の花開く。
明るくても暗くても関係ない。
そのほかにも九月に相応しい曲はたくさんあって、
編集するにも自ずと力が入るけれど
そこは季節の力、魔法を借りて
できうる限り軽やかにいってみよう。

何しろ、秋の入り口だ。
味覚の秋、芸術の秋、兎にも角にも血わき肉おどる。
とはいえ、九月が素敵に思えるのは
表情豊かな季節感を持っているからかもしれないなと思う。
暑過ぎず寒過ぎず、
朝は少し肌寒く、昼は夏を思わせてみても、
夜にはまた少し理性的に温度を戻してくれるナイーブさ。
晴れやか秋空のあと、
一雨来るだけでなんとなく憂いにやつした叙情を運んできやがる。
なんとも詩情豊かな季節に思えるところにくすぐられるのであります。
まさに乙女の季節到来。
おっと、あたしゃ乙女じゃありませぬ、
いい歳をしたおっさんだもんな。

セプテンバー・ソングス~9月のクルト・ヴァイル

ドラマチックであることは素敵なことだ。
けれどもあんまりにも大げさだったり、
仰々しいものは嫌いだ、という人に聴いて欲しいのが
クルト・ヴァイルの世界。
それをオムニバス形式で、いろんな人がビデオクリップのように
展開される映画のサントラ版。
人を集めるセンス、企画するもののセンス
プロデューサーのハル・ウイルナーってなかなかのセンスをしているなって
ずっとそう思っている。
中でも大好きなのはルー・リードの歌う「September Song」がハイライト。
実は85年度盤もあって、そちらの方と聴き比べてみると
面白いぐらいアレンジが違っていて実に味がある。
まさに陰と陽。甲乙付け難い出来。

Lou Reed :September Song

Lou Reed : September Songs II

Secrets OF A Beehive:David Sylvian


このアルバムが九月に相応しい音かどうかはわからないけれど
一曲目『September」はその名の通り
九月の到来を告げるオープニングに相応しい。
深遠でありながら、移ろいゆく季節の叙情感たっぷりに
シルヴァアンのしっとりとしたゴージャスな歌声に
来るべき秋を感じる。

The Neville Brothers::Yellow Moon


ネヴィル・ブラザースを聴くきっかけになったアルバム。
イエロームーン、そのままやん!
ってなツッコミはさておき、
ダニエル・ラノワプロデュースによって
熱いR&Bサウンドにさらに魔法がかけられて
不思議で妖しいサウンドに変貌している!
といってもネヴィルの良さは失われてはおりません。
あくまでニューオリンズサウンドに
どこかアロマのようなエッセンスが立ち上るとでも言いましょうか、
そんな素敵な仕上げになっております。
絶妙なリバーブ感がたまりません。

Best OF SADE


はじめてシャーデーの『Smooth Operator』を聞いた時
なんてかっこいいアダルトな音楽だろうと思って聞いていた。
それまではこの手の音楽は全然耳に入ってこなかったけど
凡百のアダルトコンテポラリーとは一線を画するシャーデーの魅力。
いつかそんな雰囲気の恋がしてみたいと
柄にもなく思ってみたりしたのが懐かしい。
あんまりベスト盤は聞かないけど、
シャーデーのベスト盤の選曲がいいのでひとまずこれでいこう。

VAN MORRISON:MOON DANCE


ヴァン・モリソンってやっぱり秋空に映えるわ。
ヴァン・モリソンの名盤は数知れないけれども
この九月という月に限定すると
やっぱりこれかなあ、と思う次第。
ムーンダンスっていう響きがいいね。。

Kronos Quartet:Music of Bill Evans


ビル・エヴァンスの『MOON BEAMS』でもよかったんだけど
クロノスカルテットの弦楽四重奏もいいんだよねえ。
ビルにはこの先も度々お世話になるだろうからまあいいか。
まさにこの季節にぴったりの質感に
うっとりまったりできる名盤として何年も愛聴している。
一曲目の「WALTZ FOR DABBY」からして神々しい。
「Peace Piece」だけがオリジナルだけど、これもいい。

藤井尚之:Out of My Tree


フミヤもチェッカーズもそんなには思い入れはないのだけれど
弟尚之だけはなんだかずっと好きで聴いている。
特に9月を意識する曲はないけれど、
今の季節感にはあっているんじゃないかな。
リトル・フィートを意識させるようなジャケット。サウンド然り。
これもまたシティポップな一枚と言えるだろう。

CLOSING TIME:TOM WAITS


いつだって素晴らしいトム・ウエイツの
何と言ってもデビュー盤。
グレープフルーツのような月を見上げながら
下積み時代に思いを馳せながら
しみじみと歌い語りかけてる酔いどれ詩人の名曲「Grapefruit Moon」
これだけあれば十分だけど
アルバム丸々が素晴らしいのはいうまでもない。

Every Picture Tells a Story:Rod Stewart


ロッドの出世作といわれるサードアルバム。
このころのロッドはいいな。
フェイセズからの盟友ロン・ウッドとの共作で
ブリティッシュ・ロックを代表する一枚といっても過言じゃないでしょう。
九月末の恋の名曲「マギー・メイ」が収録されているので選んでみましたが
ティム・ヘイデンの「Reason to Believe」なんかもいいな。

Shleep:ROBERT WYATT


これから冬にかけてますます聴くことが多くなる
天使の歌声をもつロバート・ワイアット通算7枚目のソロ。
“September the Ninth” と”September in the Rain”(ボーナストラック)
が収録されているということで
この9月のセレクションに選んだ。
ちなみにワイアットはパスカル・コムラーデとのミニアルバムでは
セプテンバー・ソングもやってくれているので、
そちらもたまりません。

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