『門戸無用』MUSIQ VOL.11

[門戸無用]MUSIQ

いよいよ初夏の陽気になりました。
ぼくはむかしからふわふわ系が大好きでして。
綿菓子にはじまり綿棒まで、なんか好きなんだなあ、
干したてのふかふかの布団も、
そしてあの夏の入道雲、猫の尻尾しかり。
天花粉ってなものも、ありましたありました。
ふわふわするもので嫌いなものはありませんね。
逆にトンガリ系は怖いですね、人間も然りです。
尖端恐怖症っていうんですか、それと背中合わせのふわふわ愛好癖。

たとえば、ケサランパサラン、響きからからしていいですよねえ。
きっと男より女の人に受ける言葉ではないかしらん?
実際に化粧品のブランド名にもなっているぐらいですもんね・・・
だって可愛いから、単純に愛すべき響き。
とはいえ、実体がいまいちつかめないのですけど、そこが良いともいえる。

で、同じようにケセラセラという言葉が好きなのであります。
だって可愛いから・・うーむ、可愛いか?
ちょっと違う。
そうだな、さらさらした感じ、木の葉と木の葉がこすれ合う感じ。
耳元で囁く感じ、ダバダバダダバダバダ♪
映画『男と女』のイメージかもしれない。
うーむ、似ているようでちょっと違うか。
意味だってもちろん知っていますとも。
「なるようになあれ」
その響きは日本語にない軽さがあります、
もちろん日本語ではないのですからネ。

が、そんなことはどーでもいいじゃないですか。
では三時のひとときケセラセラをひとつ召し上がれ。
飴でもボンボンでもキャンディでもない甘い誘惑。
それがあればどれでもいいのです。
口に出すだけでケセラセラが広がります。
だから、いつでもふとケセラセラ、とつぶやいてみたくなります。

まるで風のなかにシャボン玉を吹きつけるかのように
たのしげに、かろやかに、いってみてもだれにも迷惑がかかりません。
でも、その呪文はしかめっ面でいっても意味がありません。
ケセラセラは、そういって笑います。

そう、あたかもクラムボンが笑うように。
オドラデクを見かけるように。
ぼくはそれが初夏の実体だと思うんです。
初夏というのは、そういうものだと
ぼくは確信しているのです、だから身が軽いのです。
軽くなってどこに飛んでゆくか判らない、そんな気分なのであります。

今、ぼくには将来に対する特別な確信もないし
また不安もない。
同時に過去に対する悔いも何もない。
ただあるのはケセラセラ、その言葉のみ。

いろんな人が取り上げている名曲「Que Sera, Sera 」
僕が一番好きなバージョンはこのスライのものですね。

初夏を彩るアルバム10選

あの頃、マリー・ローランサン:加藤和彦

カトウカズヒコさんは、あああの帰って来た酔っぱらいの、といわれてもいまいちピンとこなかったし、ミカバンドではあれがそのと思ったけれど、そうこうして、これでようやくわかりました。要するに、YMOがらみでたどり着いたダンディアルバムは、金子国義のイラストがいかにもっ、なんですけど、曲がどれも初夏っぽくて非常に気持ちがよいです。盟友ユキヒロ氏のサポートを得て、じつにオシャレに仕上がっておりますなぁ。

The Most of Dan Hicks and His Hot Licks:Dan Hicks and His Hot Licks

ダン・ヒックスの69年録音、発表のファースト・アルバム。フォークに、ジャグに、スウイングに、カントリーなどなどが調合された良きアメリカのエッセンス満載。こういう音楽が現状のおしゃれ音楽に多大な影響をあたえているんですな。リッキーリ-嬢とのデュエット「I Scared Myself」が大好きっす。

アマゾンの流れ:UAKTI

いろんなへんてこな創作楽器を演奏するというと、ハリ-・パーチなんかを思い起こさせるけど、ブラジルのグループウアクチは、親しみやすさと不思議な感覚を共存している。同じミナス・ジェライス出身のミルトン・ナシメントのアルバムを通じて聞くようになりました。独特のまあるくやさしい打楽器の音色やユーモラスな笛などの音色によるミニマル・ミュージックはブラジル音楽の豊かさを物語ってます。アマゾンの流れというフィリップ・グラスの作品に挑戦していますが、この不思議な気持ち良さはもうシンプルドラッグ。曲名に河の名前がついてるけど、違いがこれじゃあわかんないな。

MIYASHIRO:Pascific 231

う~ん、とにかく架空もの好きとしては、日系2世ミヤシロ兄弟による、このエキゾラウンジの洒脱なフェイク感が大変好感をもちますね。デイジーから現れた蓮見重臣、このひとはいわずと知れた某シネフィル教授JRというサラブレッド、フェイクではなしに本当にハーフなのに、それを感じさせないすごさ。砂原のパンナムもよいけれど、(ゴメンナサイ)こちらはさらによいですな。現在廃盤がちょっと哀しいぞ。

Highvision:Supercar

いまSupercarはロックの進行形、決して頭の音楽じゃなくて、常に身体が命の音楽をやっているところに好感をいだくね。増子氏のエッセンスで、ちょっとトランス的な、とても気持ちのいい感じが加わって、さらに進化していくだろう。ますます未来のロックが楽しみになってきたよ。ラスト「Silent Yaritori」のピュアートランスまでくると、脳のなかに青空が広がるぜ。

NEW YORK – ADDIS – LONDON : THE STORY OF ETHIO JAZZ 1965-1975

常々アフリカ発の音楽には関心を寄せてきたのだが、
このエティオピア至宝、そして “エチオ・ジャズの第一人者であるムラトゥ・アスタトゥケというヴィヴラフォン&キーボード奏者の奏でる面白い。もちろん、ジャズの要素やアフロな感覚はあるけど、実にオリジナリティが効いているな。中毒性のあるメロディと、踊りだしたくなるエキゾチックグルーヴの妙が素晴らしい。アメリカに渡ってバークレー音楽院でいろんな音楽をちゃんと学んでいる人で、自分の音楽として吸収消化していて、知性を感じさせる。

CREUZA DE MA:Fabrizio De Andre

邦題は「地中海への道程」といいました。デ・アンドレと元PFMのメンバーのマウロ・パガーニとの共作。歌はジェノヴァ方言のようですね。ジャケにあるような青い空、青い海、白い家という紋きりのイメージトリップから濃厚な地中海物語が堪能できます。といっても内容からして、古きイタリア、ジェノヴァの歴史的情緒でしょうか。オレンジ・レモン、そんな色彩まばゆい柑橘系の音楽。

https://www.amazon.co.jp/s?k=CREUZA+DE+MA&i=popular&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&ref=nb_sb_noss

Red Curb:Rei Harakami

from Kyotoの人力有機テクノ、隠れ才人のひとりといえばレイ・ハラカミ。キュート風味のテクノプログラムにニコリ。宿る叡智のインテレクチュアリティにぺコリ。が、さりげなさの美学に裏付けされた高度なテクスチャにノン・シコリ。まさにプログラム小僧の鑑。ROVOやAsa-changやUAとのヒューマンコラボもばっちり魅せてくれる。秀逸な落書き風ジャヶにセンスが凝縮されてます。テクノ界の金城武、なんていうのはなしかな。

SUNSHOWER:大貫妙子

「今時を先回りした音楽』=日本のシティポップというジャンルが
外国でもいろいろ取りざたされる昨今、
名盤はいろいろあるんだろうけど、
やっぱり、シュガーベイブ〜ター坊への流れは外せませんよねえ。
とりわけ、このアルバムの素晴らしさときたら・・・

WEST:Lucinda Williams 2008

大好きな女性シンガー、ルシンダ姐さんのアルバム。
カントリーよりは、どちらかというとロック色のほうが強い。
ジム・ケルトナーのロックドラムを久しぶりに聴いた気がする。
とくに、ハルの個性がゴリ押しされているわけではないけど
ハル自身はサーンテーブルやサンプラーで参加していて
ところどころで、巧みに仕掛けをいれている。
それによってルシンダの新しい一面が発揮されているんじゃないかな。
実に、洗練された味付けで、よく彼女の世界をうまく引き出している作品だ。
ここにもビル・フリーゼルがフィクサー的に参加していて、
アクセントをつけている。
やっぱり、すごい人だな。

https://www.youtube.com/embed/q_mIFXZ5ykM
Sly and the Family Stone – Que Sera, Sera (Whatever Will Be, Will Be)

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