エドモンド・キラズについて

KIRAZ 1923〜

パリ発ぶさかわキュートなイラスト、キラリ。

今時、単純にキレイだけ、可愛いだけじゃ
なかなか人の気を惹けやしない。
一億総カワイイ時代。
そんなわきゃないな・・・・
とはいえ、ぶさかわ、なんて言い方がもてはやされている昨今の事情は
それを物語っているんじゃないかしら。

エジプトのカイロからパリに移住し、
1960~70年代にかけて『PLAY BOY』など
広告やファッション誌で活躍し
人気を博したエドモンド・キラズという
モードイラストレーターというかバンド・デシネ作家がいる。

通称KIRAZ。
1923年生まれだというから、もうすぐ100歳の大台に届くという、
モードイラスト界の大家と言っていいのだけれど
それはもはや粋の域といっていいほど
その若く軽やかなタッチで魅了されるのです。

ちょっとエロチックだけどいやらしさなど全くない。
キラズが描くがゆえに、「キラジェンヌ」と呼ばれる女の子達は
どこか愛想がなくって生意気だけど気品があって
わがまま自分勝手風だけど、オツムはそう悪くない
そして、何よりモードを愛し、モードに愛される女の子達が
描かれているのがなんともキュートだ。

日本でいえば、先日他界した
市原悦子の若いときのような、イメージを思い浮かべる。
ブスではないけれどちょっとオタフク。
滲み出すユーモアのセンス。
もっとも市原悦子の若い頃を知っている訳ではないから
あくまでイメージの域を脱しないが、
個人的には概ねそんな感じを勝手に抱いているのです。

決して美人キャラではないが
一筋縄ではいかないコケティッシュなパリジェンヌたちの雰囲気を
絶妙に捉えているように思う。

日本ではFantastic Plastic Machineというバンドの
CDジャケットに使用されていたりしたが
本場パリに比べ知名度はそう高くはない。
たしかに、そのタッチをみれば
日本人好みとはいいがたく、
パリモードの趣きの方がつよいようには思う。

あたかもエリック・ロメールの描く物語のような軽やか差があり、
その映画のような一コマ一コマのシーン。
思わずにんまりしてしまう。
こんなポスターが街角に貼られているなんて
やっぱり、パリっておしゃれな街だな、って思う。

The Fantastic Plastic Machine:Fantastic Plastic Machine

DJ&プロデューサー田中知之のソロプロジェクト
通称FPMことFantastic Plastic Machineの
1997年デビューアルバム、その名も『THE Fantastic Plastic Machine』。
まさに渋谷系そのものと言っていい、
お洒落でモードな楽曲がぴちぴちの鯛焼きみたいに詰まった素敵なアルバムだ。
FPMはピチカートのアルバム『ロマンチック’96』に収録された楽曲
「ジェット機のハウス」が実質デビューだったわけだけど、
先日の小山田事件で尻ぬぐいをしたように、
田中知之という人、いまや、実力、実績ともに申し分はないひとだ。
とはいえ、キラズのことを考えていなければ個人的に、
ちょっと忘れてしまっていた・・・

正直、こういうアルバム、センスが実は一番やっかいでもある。
中身もいいし、ジャケットもセンスが良くて
全くケチのつけようがない・・・というのが前提で、
優秀な映画かなにかのサントラのように、クオリティが高く、
聴き入ってしまうし、ずっと流していたい気にさせられる。
それでいいじゃない、といわれるかもしれない。
が、じゃあ無人島に持ってゆくほど好きな一枚か
そういわれると、ちょっと返答に困ってしまうところがある。
つまりは、絶対的な名盤とは、別次元にある音楽なのだ。
そういうのをなんと称すればいいかはわからないけど、
本音と建前がある、そういうものなのです。

でもいいんだな、これが。
もちろん、皮肉でもなんでもなく、
むしろ、キラズをもってくるセンスに脱帽なのですから。
ま、そんな難しく考えることはないか。
軽妙さの美学、洗練された美意識をここは素直に受け入れればいいのですよ。

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