ジョン・ハッセル追悼プレイリスト前編

dedicated to jon hassell
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歌に寄り添う哀愁の枯れすすき

6月26日84歳で永眠したアメリカの前衛トランペッター
ジョン・ハッセルについての思いは
乾山水トランペッターここにあり」にしたため、
『ジョン・ハッセルの親和性を認識できる10枚のアルバム』をあげ
すでに書いてしまっているので
ここで改めて書き下ろすことは、今のところしないつもりだったが、
大好きなミュージシャンであり、その偉大な功績を称える意味で
あえて臨時に特集を組んでみたい。
今なお、日常のプレイリスト下で
繰り返し聞いているこの不世出のトランペッターの音楽に対し
追悼の意を込めて、ジョン・ハッセルが奏でてきた
あの癖になるような、トランペット音を、
個人的追憶という形でここにプレイリスト化してみたいと思う。

ちなみに、これまで追悼関連の特集は、やってこなかったが
これから先も、命日や、その時のタイミング次第で
取り上げてみたい企画でもある。

特に、縛りはないが、ソロであれ、コラボであれ、ゲスト参加であれ、
基本的には、ハッセルのトランペット同様、
その音楽自体に対するリスペクトあってこそである。
よって、掛け値なしに、素敵なミュージックである。

ジョン・ハッセルの偉大さの一つに、
現代音楽然とした難しい音楽というか、
確かに、その音は前衛的なものを奏でる音楽家ではあるのだが、
いつしかポップミュージックの領域で、数々のシンガーソングライターたちの楽曲に
アジャストし、アシストしてきた、という側面を見逃してはならない。
ここでは、前編はそうした「歌物」への参加曲をとりあげてみよう。
このレンジの広さ、どんな楽曲にも、立ち位置が変わらないのが凄い。

後編にはブライアン・イーノとのコラボレーションをはじめとして
第四世界の独自の音のイノベーターとしての側面とに分けてみたい。

Houses in Motion:Talking Heads

まずはこの曲ではじめよう。トーキング・ヘッズの歴史的名盤『Remain in Light』より「Houses in Motion」を。
この辺りから、ハッセルは、一気にロック、ポップミュージックとの交流が盛んになったんじゃないかな。だから、この曲は外せませんねえ。イーノとの絡みでここに招かれた刺客といったところでしょうか。ロックでも、ファンクでも、なんでも消化してしまう、魔法のトランペットに感服です。

Houses in Motion:Talking Heads

BIG SNAKE:LLoyd Cole & the Commotions

ロイド・コールのコーモション時代の名盤『Mainsteream』の中の一曲。トレイシー・ソーンがヴォーカルで参加した「BIG SNAKE」で、ハッセルのトランペットが前衛すぎず、程よく絶妙に絡んでゆく。これまたいい曲だな。

BIG SNAKE:LLoyd Cole & the Commotions

Brilliant Trees:David Sylvian

ハッセルが参加した歌物の中でも、シルヴィアンのソロ『Brilliant Trees』で見せたアプローチはそれまでのハッセルの経歴においても、革新的なできごとのように思われる。
アルバムでは2曲に過ぎないが、その存在はまさに唯一無二の存在して
シルヴィアンの肉声に寄り添うように響いてなんとも艶かしい。

Brilliant Trees:David Sylvian

Standing on the Corner of the Third World:Tears For Fears

80年代の『シャウト』で一斉位風靡したローランド・オーザバルとカート・スミスに二人組TFFの3rdアルバム『The Seeds Of Love』より。当時無名だったオリータ・アダムスを抜擢して、イギリスでは堂々の一位にランキングされたアルバムからの一曲。ジョン・ハッセルのトランペットがあまりめだたないほど、ドラマチックで、パショネイトにもりあがってゆく。

Standing on the Corner of the Third World:Tears For Fears

Crime:Stina Nordenstam

スエーデンの歌姫、スティーナ・ノルデンスタムの2ndアルバム『And She Closed Her Eyes』より。ファーストよりさらに深みを増した内省的な世界。その曲に寄り添うハッセルの枯れたトランペットがさらに魅力を引き出している。ハッセルのトランペットは、女性ボーカルにすこぶる優し音を奏でる一例だ。

Don’t Call Me Red:Ry Cooder

CHÁVEZ RAVINE』より「Don’t Call Me Red」。ライ・クーダーとの絡みも渋い組み合わせだけど、ここではベースのラテンテイストにさらに実験的アプローチが加わって、無国籍風なサウンドへ仕上がっている。なんとも刺激的でかっこいいナンバー。ライもすごいけど、ハッセルもやっぱりすごい。ほんとうにこのレンジの広さ、多様性には頭が下がる。

Don’t Call Me Red:Ry Cooder

Venus Rise:Mozez

ジャマイカ生まれのロンドン育ちのオズモンドライトことMozezの1stアルバム『SO STILL』より。エレクトロニカであり、チルアウトであり、アンビエントであり・・・深淵なポップチューン。デジタルを駆使した静寂のなかを高揚してゆくリリカルなナンバーに、ハッセルの渋くエモーショナルな生の質感を保ったトランペットが突き刺さる。じんわりくるこの感じがたまらない。

My Last Cigarette:kd lang

1997年の『Drag』から「My Last Cigarette」は、ハッセルが絡んだ曲の中でも、個人的には一二を争う名曲ではないかと思う。歌物のバックで控えめながら、ラングの歌の良さを損わずに絡むトランペットの哀愁がたまらない。

My Last Cigarette · k.d. lang

All The Pretty Little Horses:Holly Cole

大人のポップコンテンポラリーミュージック。ホーリー・コールの1987年のソロ。その名も『Dark Dear Heart』から、ダークなトーンにもすこぶる馴染むのがハッセルのトランペットの味であります。

All The Pretty Little Horses:Holly Cole

Flicksfrou frou

イモーゲン・ヒープとガイ・シグスワースによるイギリスのエレクトロニックデュオのご機嫌で気持ち良いナンバー。このアルバム『Details』で2曲に参加したハッセル。電子音との相性はすでにいろいろなところで保証済みではあるけれど、この手のポップチューンに絡むハッセルもまた新鮮だな。

Flicks · Frou Frou

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