哀愁蝉ナール

セミ
セミ

蝉時雨かまびすしく、ひねもす鳴き止まぬ盛夏。
気のせいか、毎年シャーシャーと小うるさい
アブラゼミの合唱が減っているのが気になるところ・・・
こういうものには周期があるのかもしれない。

セミ、といえば俳句の季語でもしばし扱われるところの夏の代名詞。
小さいころ、夏になるとアミと虫かごをもって夢中になってセミ採集していたっけな。
というわけで、昆虫の中でもセミって奴には親しみがあります。
でも、やっぱりやかましいこと極まりない。暑さ3割り増し。
このやかましさは人間様とは正反対でどもの仕業らしい。
もっともこれはメスを求む求愛の習性だからして、男としては目つぶる、
ならぬここは耳を紡いでおきますかね。

まるでレーザービームみたいに浴びせられる声で鳴くあぶらぜみやミンミンゼミから、
「かなかなかな」という詠嘆風情のひぐらし、
あるいは「ぼうしつくつく」と面白い音声で鳴くツクツクボウシなど、
それぞれに個性がありますね。
小さい頃の記憶を紐解けば、関西地区にはニイニイゼミだとがクマゼミという種類も
いたはずなんですが(今はどうなのかな?)。

見た目、昆虫だからグロテスクだったりするけれど、
円谷プロの傑作、バルタン星人の原形としてあるように、
どこかメカニック、おもちゃ好き、メカ好きの子供には以外と受けはいいのでは?と思ったり。
うるさいだけのあぶらゼミくんでさえ、
チョコカラーの羽根をよく見ていると、なにやら緑の幾何学模様の線があったりして、
とても美しかったりするのよね。

そもそも、あの羽化の神秘は必見もので。
長い年月地下生活者で、ようやく日の目をあびてもわずか数週間、
うまく羽化できれば、これ幸いの儀式。
で、背中を割って出てきて、宙返り発進、
神秘の純白の羽根は、地上という俗に属するための洗礼のような感じで
徐々に変色していくんですよね。
あれを見ると日中、数週間の大合唱ぐらい、大目に見てあげたい気になります。
まあ、大変な工程をへてこの地上にやってきたものたちへの慈しみとして。
それもオスのみで、メスは静かに数年後の子孫に夢を託すだけ。
けなげといえば、これはけなげこの上ない。
秋口になれば、ぼうしつくつくが、むしろ、その反動で
愛おしくさえ思えるのだから不思議なものですね

我が家のサマーミュージック定番セレクション:其の壱

BAND WAGON:鈴木茂

はっぴいえんど、ティンパンのギター弾きと知られる鈴木茂の
1975年度ファーストソロアルバムは気合の入った海外録音。
リトル・フィートの鍵盤奏者ビル・ペイン、
ドラムのリッチー・ヘイワード、
ベースにはサンタナとのプレイで知られるダグ・ローチ、
スライからはグレグ・エリコなどを迎えた
まさしく名盤の名に相応しい豪華メンバー。
作詞は盟友松本隆で、息のぴったりあった関係で出来には抜かりはない。
眩しい夏の光線のようなギターが炸裂する
まさに日本版ローエル・ジョージってわけよね。

Mister Heartbreak:Laurie Anderson

『BIG SCIENCE』でデビューしたのが1981年。
ヴォコーダーをつかった「オー!スーパーマン」がヒット。
ニューヨークの知的なミュージシャンの代表格
ローリー・アンダーソンの2昨目は
ビル・ラズウェルやピーター・ガブリエルといったツワモノ、
エイドリアン・ブリューやティーゲムなど
なかなか豪華なメンツが顔を揃えた野心的なアルバムといっていい。
確か1000万もするシンクラビアやリンドラムといった
当時の花形エレクトロニクスがベースになっているけど
エキセントリックなトロピカリズモは今尚刺激的に響く。
「コトバはヴィールス」だといった
ウイリアム・バロウズへのオマージュが聞こえてくる。

Live:Bob Marley & The Wailers

夏といえばレゲエ、レゲエといえば夏。
とにかく、暑さに負けぬこのバイブスを欲するのです。
まあ、そこまで単純脳でもないのだけれど
レゲエといえばボブ・マーレー、であることは間違いない。
で、ボブ・マーレーといえばやっぱしこのライブ盤は外せない。
唯一神ジャーのもとに
この熱いラスタバイブレーションを感じながら、
とりあえずこのアルバムを聴く。
それだけで十分なのです。

Electric Warrior:T-rex

Trexが夏の音楽かどうかはさておき、
ギラギラしたこのロックを
この炎天下の下で聞いていると
本当に元気ハツラツな気分になってくるのは間違いない。
ご機嫌なブギロックをできる限り爆音で聞いて欲しい。
ジャケットはあのヒプノシス。
夏はかようにチャランポランに行きましょうよ、
いや、それをいうならマークボランでしょ!

Cupid & Psyche 85:The Scritti Politti

このアルバムが出た時の反響は凄まじかった。
ものすごく斬新なサウンドに聞こえたんだな。
ラフトレード時代のアコースティックサウンドから
一変したパキパキしたメリハリのあるきらびやか音は
今きても中毒性がある。
ネオホワイトソウルな香りにあふれた
グリーンの甘いボーカルがまたなんとも言えない。
チャカ・カーンのプロデュースで知られたアリフ・マーディンを迎え
打ち込みに対抗するアヴェレイジ・ホワイト・バンドのドラマー
スティーブ・フェローンの生ドラムが
これまたものすごいグルーブを聞かせてくれる名盤だ。

Invitation LIVE:Jaco Pastorius 

ジャコのベースもさることなが
ビッグバンドの演奏のスケールがこれまた凄い。
どことなくトロピカルで
どこか大陸的なスケールが心地よい。
「Soul Intro」から「The Chicken」が堪らないなあ。
「ワード・オブ・マウス・ビッグ・バンド」の
1982年8月の来日公演時のライブ演奏を一枚にまとめたもので
スタジオ盤にない臨場感そのものを体感できる。
ゲストのトゥーツ・シールマンスのハーモニカが聞けるのも最高。

RIDE ON TIME:山下達郎

真っ青な空、青い地平線、青い海、白い波。
季節感満載の達郎ワールドの開放感がどこまでも気持ち良い。
どんな卑屈な田舎者でもこの一枚を聞けば
都会的でアダルトな気分になって気が大きくなるはずだよ。
達郎にとっても一つの転換期になったアルバムで
シティポップの嚆矢としても名高い名盤だ。
青山純、伊藤広規、
以後達郎サウンドに欠かせないリズム隊による
素晴らしいグルーブが堪能できる。
きっとドライブにも最適なんだろうな。
「Ride on Time 」はアルバムバージョンの方がいいね。
ラストのコーラスのセンスがいい。
ジャケットの都会的なクールなセンスもいいな。

EACH TIME 30th Anniversary Edition:大滝詠一

夏生まれのイーチ・オータキ氏ゆえの
眩しいまでのリゾート感あふれたシティーポップ。
いわば「イーチ・オータキ」による説明不要の名盤中の名盤。
まあ別に「ロンバケ」でもよかったけど、
こっちが最終的には大滝氏最後のアルバムになったということもあって
自分にはこちらの方に感慨があるってことで。
どっちにしても不動の名盤であることに変わりが無い。
ナイアガラ20周年を記念してリリースされた方より
30th盤の方が大瀧詠一のラストには相応しい。
全11曲のオリジナル・カラオケが収録されているから
BGMとして流しておいても気持ちがいいかもしれない。

Tom Tom Club:Tom Tom Club

毎年夏を迎えるたびに、トムトムクラブを引っ張り出してきている。
もう30年近く聞いているけれど飽きないなあ、コレ。
80年代のNYのニューウェーブサウンドを象徴するポップさに満ち溢れている。
トーキングヘッズのティナ・ウェイマス(B)とクリス・フランツ(Ds)
このリズム隊夫婦によるトムトムは本当に楽しい。
トーキング・ヘッズも好きだけど。これはこれで心がウキウキさせられる。
一番好きなのはやっぱしJB讃歌の「Genius of Love」。
そのキャッチーなメロディーは忘れられない。
肩の力の抜けたゆる〜いアフロビート、
ファンキーでご機嫌なダンスミュージックならコレ。
ホームパーティーのBGMなんかに最適かも。

Kid Creole & The Coconuts:Tropical Gangsters

クレオールことオーガスト・ダーネルに
女性コーラス3人組ココナッツの
ファンカラティーナというラテンとファンクの融合した音楽で
ダボダボのズート・スーツに身を包んだキッドのダンディズムとともに
おしゃれでキュートな80年代に一世風靡したアルバム。
今聞いても全然古臭さが無いなあ。
で、まさにこの夏にぴったりの一枚。
さあさあ小難しいことなんて考えてないで
いつ聴くの? 今でしょ!的なアルバムでございますよ。

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