[門戸無用]MUSIQ VOL.3

[門戸無用]MUSIQ

飯もうまい。
酒もうまい。
眠りも深い。
体調もいい。
秋っていいな。

とりわけこの日本の秋はスンバラシイとおもふ・・・
余裕があれば旅にでも出かけて
のんびり情緒でも楽しみたいところでありますが
そうは問屋が卸しませぬ。

それはそれ、これはこれ。
日々労働に勤しむものに幸いあれ!
まあ、音楽というご馳走、ご褒美がある人間は幸せだ。
なぜなら、不平不満に彩られる前に
素敵な旋律、楽しいリズムによって
いっときの夢心地になれる。
さあ、身体をシェイク!
脳みそシャッフル。
感性と衣装をまとって心ゆくまで踊りあかそう!

我が家の秋の夜長のミュージック定番セレクション 其の壱

Scott Walker:Sings Jacques Brel

Scott Walker:Sings Jacques Brel

76歳で他界したスコット・ウォーカーは、オルタナ系シンガーたちに多大な影響を与えてきた人物だが、ウォーカーブラザーズ解散後のソロ活動において、ひたすら己の世界を邁進するスコットのアルバムはちょっとばかし難解すぎた。好きなんだけれど、ここで容易に紹介するには少し躊躇するものばかり(実験的すぎるのだ)。
なので、ジャック・ブレルに傾倒していた頃のスコットのドラマチックサウンドに高揚感をおぼえるものとしては、こちらをセレクトしておきましょう。マーク・アーモンドによる「ジャッキー」のカバーは、原型のブレル版をこえて、スコット賛歌になっていたほどだ。声、そしてオーケストレーションの華やかなこと。それにしてもスコットの「ジャッキー」ほどドラマチック天国な曲はないよな。

ブルガリア ~神秘の歌声

いまでこそ、たくさんのコンピレーションがでているから、気軽に聴けるブルガリアンボイスだけど、僕が初めて耳にした頃は音源を探すのが大変だのを覚えている。たしかブルガリアンボイスをはじめて聞いたのは
坂本龍一のラジオ番組で、デヴィッド・シルヴィアンがゲストの際に紹介していたものだったと思う。その後、デヴィッドは自身のヴィデオ作品にも音源を使用していた。こちらは、のちに4ADレーベルからリリースされたものを入手してよく聴いていたな。コーラスが醸す力強く、かつ不思議なハーモニー。ヨーロッパでもアジアでもない東欧のエキゾチズムにやられたものだ。今なお強烈なインパクトを放ち続けている実にすごい音楽発見、そんな気分です。

Everything but the girl:EDEN

秋に限らず、一年中聞いてる大好きなEBTGの記念すべきファースト。いまだに大好きなEBTGのなかでも改めて聞いてもやはり感慨深いものがあるな。ネオアコブームの中、ベン・ワットとトレーシー・ソーンが颯爽と風のように現れ、オシャレだけれど、全然安っぽいものじゃなくて、すごく味があって、深みがあるというか、まさにイギリスならではこだわりのサウンドが、ここでは堪能できる。青春の一枚でもあります。

Brian Eno :Ambient 4: On Land

イーノ先生自身、このアルバムがたいそう気にめしておりましたっけ。私も好きでした。ジャケットもワームっぽくていいですねえ。で、部屋を真っ暗にしてBGMとして聴くと、まるで人里はなれた田舎にやってきたように、のどかというよりはちょっぴり怖くて、カエルやら虫やらの鳴き声がして・・・
自然を再構築したところにうまれる音楽以前の音的な発見あり。ただ単に懐かしいんです、この雰囲気が。
ただいやされるだけのBGMにはない、物語性が漂ってくるんだな。

Cocteau Twins :Blue Bell Knoll

Cocteau Twins :Blue Bell Knoll

霧の中の風景といえば、まさにスコットランド出身、コクトー・ツインズを思い浮かべてしまうのですが、エリザベス・フレイザーの声はこの世のものとも思えない崇高な響きがあるのです。夕暮れ時、あるいは夜明け前の神秘的な時間帯に聞くと、よりその風合いを感じ取ることができましょう。
このアルバムは秋が深まれば深まるほど絶対にオススメ、そんなアルバムですね。決して爽やか、というようなものでなく、どこか深淵、どこか神話的な香りがするのです。歌詞の内容もミステリー。曲もミステリー。やっぱりイギリスって芳醇な国だなって思う瞬間がここに聞こえてくるのです。

The Rolling Stones:Let It Bleed

The Rolling Stones:Let It Bleed

数あるストーンズのアルバムでどれが好きかと聞かれたら迷わずこれを上げますね。ロックというよりブルーズの香りが強くって大好きなんですよねえ。歌詞の中身はちょっときな臭くって、当時の時代背景を背負ってはいるものの、ロックンロールバンドとしてよりも、ブルースバンドのイメージが漂ってきます。脂ののったストーンズサウンドが詰まった名盤中の名盤だと思う。

Jane Birkin:Baby alone in babylone

Jane Birkin:Baby alone in babylone

ゲンスブールのことば遊びを完全にだいなしにしている邦題『バビロンの妖精』。いかにも、って感じでそこは気にいらんのですが、まあ、それはそれ、このアルバムにはかつての蜜月時代にはなかった、音楽としての成熟があって、とりわけシンガーとしてのジェーンがプリティからスウィートへ変貌したころのサウンドがここにあります。「ベイビー・ルー」とはセルジュからジャックへの答えということでしょうか。ブラームスはお好き?モワ、ウイ。エ、ヴゥ?

Rob Wasserman:Duets

Rob Wasserman:Duets

88年にジャズベース奏者ロブ・ワッサーマンがお気に入りのヴォーカリストたちを招いて「ベースとヴォーカルのみ」でコラボした名盤。とりわけ二曲も取り上げているリッキー・リー・ジョーンズとの曲がとても素晴らしい。ボブ・マクファーリンとの「ブラザーズ」でグラミーも受賞しているのもうなづける。
極上の大人ミュージック。

ROBERTA FLACK:KILLING ME SOFTLY

ROBERTA FLACK:KILLING ME SOFTLY

いつだったか、遠い昔、確かあれはネスカフェのCM だったっけか?
いい曲だなあ、と思ってたらしばらくして、また今度はラジオから流れていた同曲”Killing Me Softly With His Song”がついに頭から離れず、レコード求め買ったのでした。
そうやって耳もとでやさしく唄われて「殺られてしまった」わけで、ロバータの声がついには心に棲みついてしまっているのでした。ダニー・ハサウェイとのデュエットアルバムも好きだけどね。

兵士の物語 /Stravinski

兵士の物語 /Stravinski

マルケビッチの50歳のバースデイ録音。台詞がコクトー本人で、しかもレコードジャケにもイラストが使われているので迷わず買ってしまった。この「兵士の物語」、なんとあのいっこく堂までが演じることになったというからそんなに敷居は高くはないでしょう。
スティングが吹き込んだものもありますね。でもこれがベストです。はい。なんたって「生」コクトーが堪能できる録音物。貴重です。アカデミーフランセーズ入会演説よりは楽しく聴けますもの。

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