雨の日を耳と目とあらゆる五感で味わうためのプレイリスト前編

ある雨の1日より

雨の音そのものが聞こえるという事は実際にはほぼないはずだ。
聞こえるのは、なにかに衝突した際に生じる音である。
だから、雨は基本、ただ静かに降るだけである。
もちろん、そんなサイレントな雨の軌道の音を知覚できる耳があったなら・・・
と想像する事は楽しい。
が、それはあまり現実的ではない。
なので、ぼくは、雨はむしろ視覚的なものだと捉えている。
そして、気分に影響を及ぼす、効果を演出するものだと、そう考えるようにしている。
だから、雨を楽しむには、それなりに想像力がなければならない。

簡単なことは、そこで音楽を一緒に聴く事だ。
洋服をコーディネートするように、
雨にあわせて、音楽をセレクトする。
これもまた、雨の日の楽しみのひとつなのだ。

そんなわけで、雨のソングリストを編集するのはすこぶるたのしいことだ。
ただし、これは実に間口も広く、キリのない作業だということに改めて気付かされた。
雨は日常。
そして音楽のなかにも、大いに浸透しているキーワードの一つなのだ。

Clap Hands:Tom Waits from『Rain Dogs』

名盤『Rain Dogs』のなかから最も雨を感じさせる気がする曲「Clap Hands」。きっとマリンバの音が雨の音を連想させるからだろうか。部屋の中で聴くのもありだけど、この曲はぼくとしては雨の日のおでかけソングリストに入れている曲。マーク・リボーのギターがとっても渋い。

レインブーツで踊りましょう: | salyu x salyu – from『s(o)un(d)beams』

「salyu × salyu」名義のコンセプトソロアルバム『s(o)un(d)beams』からの一曲。日本のビョークともいわれるsalyuの伸びやかな歌声の可能性を、最大限に引き出すような、コーネリアスの小山田圭吾色の色濃いサウンド(ビート)との相性で、独創的な世界観にしあがっている。

Hana:ASA-CHANG & 巡礼 from『Jun Ray Song Chang』

どんなに綺麗な花も、水がなければ咲いてはいられない。水は命なのだ。雨は恵なのだ。その意味で、この曲を聴いていると不思議な気分にになってくる。つまり、気分が癒される、というよりは高揚するのだ。

Ghosts:Japan from『Tin Drum』

幽玄エレクトニクスの上に、シルヴァインの孤高のボーカルがのっている。部屋でじっと聴いている人間は修行僧か、あるいは、絶対の孤独者か。いや、それでも、この曲はイギリスのヒットチャートで5位に入った曲なのである。要は、考え方、捉え方の問題なのだ。シルヴィアンがそうであるように、自分自身を静かに見つめるタイプの人間にはもってこいの曲なのである。

Protection:Massive Attack feat.Tracey Thorn – from 『Protection』

マッシブ・アタックの曲大好きなトリップホップチューン「Protection」にはEBTGのトレーシー・ソーンのボーカルが絡む。実にマッチングしている。アルバムバージョンもいいのだが、ライブバージョンをみつけたので、こちらをあげておきましょう。ちなみに、このアルバムは、ローリング・ストーン誌をして「朝の4時に都会をドライブする時に最適の音楽」といわしめたが、ぼく雨の濡れた舗道を目を細めて歩くのに最適な音楽」だと思っている。

Does Everyone Stare : The Police from『Reggatta de Blanc』

大ヒットした『シンクロニシティ』は嫌いじゃないけど、それよりもこの2nd『Reggatta de Blanc』の方が好きなのだ。そのアルバムを最後を飾るピアノで始まるこの曲は、アルバムのなかでも実に渋い曲だと思う。

Ce N’est Que De L’eau:Pierre Barouh from 『Ca Va Ca Vient 』

ピエール・バルーの名盤『Ca Va Ca Vient 』のなかでも、大好きなボッサテイストの「Ce N’est Que De L’eau」は、ジョビンの「Agua De Beber」にフランス語の歌詞をつけて歌っている。原曲はもうちょっと洗練された魅力があったが、ピエールはそこに人生の苦味というか、憂いの陰影をにじませている。

 She Brings The Rain:Can from 『THE SINGLES』

カンの名曲「 She Brings The Rain」。というか、カンにしては、比較的スタンダードというか、さほど実験的すぎない曲。でもカンだ。まるでフィルムノワールなんかの映画にでもつかわれそうな、そんなムーディーな曲で、雨の日にはぴったりの曲だと思う

Kije’s Ouija:The Free Designfrom『STARS/TIME/BUBBLES/LOVE』

クリス・デドリック率いるフリーデザインがカバーした、ジョージ・ロイ・ヒル『明日に向って撃て!』の挿入歌、バカラックの名曲「雨にぬれても」をとりあげようかと思って、このアルバムを改めて通して聴いていたら。どの曲もウォータードッツ感満載で、どれも素敵すぎるので、こっちをあげておきましょう。

夜と雨のワルツ:畠山美由紀 from『rain falls』

元ボート・オブ・ノーツの畠山美由紀の6thアルバム『rain falls』はまさに雨にまつわる曲が収められているが、なかでも、「夜と雨のワルツ」はバンドネオンの哀愁とあいまって「あなたが思うよりも人生は短く」というフレーズが心に刺ささってくる。

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