THE BEATLES コーラスの話

THE BRATLES
THE BRATLES

ハモリはイキでなければ食いつかない

春に聴きたい音楽はたくさんあるけど、
そのなかに、ビートルズナンバーがないことにはたと気づいた・・・
(こじつければ「BLACK BIRD」とか「Please Please Me」とか
「The Fool On The Hill 」や「Lucy In The Sky With Diamonds」とか、
まあないわけじゃないんだけど)
そういえば、これまでビートルズがらみの記事を書いてはない。
というか、そんなに深くも聴いてこなかったし、
ウンチクを語れるほどの人間でもない。
おそらく、これだけ時間が過ぎても、世界中でもっとも支持を受ける
音楽であることには変わりがないだろうし
僕の出る幕が、はたしてあるのだろうか?

まあまあ、ちょいと難しく考え過ぎか。
そんな否定的な切り口で始めなきゃいけないというだけでも、
なんとなく、斜に構えていることを暴露しているようなものである。
実際に、ビートルズ世代というには微妙で、
しかも、ほんとうに聴きだしたのは三十路を超えてからだ。
だから、図々しくジョン派だのポール派だのと
得意げに語るのは控えることにする。
(ちなみに、最初はジョン派だったが、
途中で、ジョージ派にもなり、ポール派にもなったのだが)

実を言うと随分後になってから、その良さがわかってきたのである。
何しろ、自分はYMO世代で、パンクニューウェイブの洗礼の方を
先に浴びてしまったものだから、
当然のように、ビートルズは自分的には当時、“旬”ではなかった。
もちろん、旬で聴くような音楽ではないのだが、
当時の頭でっかちな自分は、それを後回しにしていた。

だからアヒルに育てられた白鳥みたいに
大人になって自分がようやく白鳥
(何だか美化してるように聞こえるかもしれない)
だと気づくようなものかもしれない。

いや、違うな。
ただ単に目新しいものがたくさんあって
そっちに目がいってしまっていただけのことだ。
と、表向きはそういうことにしている。

実を言えば、ビートルズ自体
自分の過去をよくよく注意深く思い返していたら、
全く縁のない音楽でもなかったのだ。
ちょうど四つ違いのいとこがいて、
彼が、大のビートルズ好きだったのである。
そのいとこは富山にいて、
つまり、うちの両親の田舎なのだが、
子供の頃夏休みのたんびに遊びに行っていた際
幾度となくビートルズの洗練をすでに浴びていたのだ。
にも関わらず、それがすんなり入っていけなかった。
音楽や文化自体に目覚めるそれ以前の
原始的感性の小学生の頃で、
しょうがないと言えばしょうがないのだが、
しかし、どうしていとこがビートルズを聴くに至ったのか
はたまたビートルズの魅力やエピソードなどを
大人になって本人の口からいろいろ聞きたいと思っているうちに、
いとこはさっさと他界してしまったのである。

今となっては、それが心残りの一つではあるのだが、
ちょうどその遺品を整理しているときに
ビートルズのCDを譲り受けたのをきっかけに
本格的にビートルズを聴くようになったものである。
時はすでに三十路を超えていた遅咲きも遅咲きである。
とまあ、何やらどんどんと話がずれてゆくので、
この辺で本筋に戻ろう。

だからというわけではないが、
ビートルズの代わりにYMOがいたし、
その文化の中で育ってきたから
どうしても後手を踏んでしまったというだけである。
もっとも、そのYMOのメンバー自身ビートルズ世代であり
幸宏氏などは熱狂的ビートルズフリークな曲をいくつも書いていたのを知っている。

だから、自ずと耳には馴染んでいたわけである。
『Daytripper』やら『Hallo Goodbye』やら
ご機嫌なアレンジで堪能できた。
『テクノデリック』収録された一曲目『Pure Jam』など、
モロに影響がうかがい知れる曲も多い。

さて、そうはいっても、調子に乗って
今更ビートルズを語り始めようと言う気はない。
ただ一つだけ、触手が動くことだけを言うと
曲の良さとコーラスワークが
自分の中ではビートルズ嗜好の入り口であり、
いまだ、ずっとひっかかっているということだ。
その関係を音楽的に語ろう、というのでもない。
ただ、そのハーモニーを聞いているだけで
ワクワクさせられるということが書きたいだけである。
それらは一括りになって魅力を構成しているように思う。

もちろん、この二つは今でも僕を虜にする音楽的要素だ。
あのコーラスがまるで魔法のように心に響いてくる。
その点は、ビートルズに敵うハーモニーを、僕は知らない。
素朴というかコーラスワークの王道ぶりでいうと
ファーストの『Please Please Me』からすでに堪能できるけど
個人的には「Nowhere Man」あたりの
ポール&ジョージの「ウーラーララ♬」なんていうのが最高だ。
コーラスというテーマだけをとってみても
ビートルズにはいろんな語り口はあるだろう。
それこそ、通には宝庫なんだろうな。

いい音楽ってやはりハーモニー(調和)というか
バランス感覚なんだな、ってつくづく思う。
そこで全く関係はないけれど
文豪の谷崎潤一郎は無類の鱧(ハモ)好きだったとか。
魚ヘンに豊と書くのがハモだとしたら、
音を豊にするのがハーモニーということなんだな・・・
至極もっともなことなのだと納得する次第。

He’s a real nowhere Man
Sitting in his Nowhere Land
Making all his nowhere plans for nobody
彼ってまさに居場所なき男なんだ
自分の世界で独りごちながら
誰の為になるでもない彼だけの計画を立ててる

「Nowhere Man」from 『Rubber Soul』

ものごとはいろんな視点を持つことも大事なんだってことよね。
ねえ、そういうことなんでしょ? ジョン。

Rubber Soul

というわけで、ビートルズのアルバムで、どれが好きかと問われると
いろいろ考え過ぎて答えが出ないから、形式的に『Robber Soul』ってことにしている。
ただそれだけなんだな。
もちろん、誰も文句のない名盤で、大好きなアルバムなのは間違いはない。
名曲揃いだし、この大好きな「Nowhere Man」も聴けるし、
「MICHELLE」なんかも入って、ご機嫌なんだけど。
なんだか歯切れが悪いって?
そんなことはないんだけど、いわば絶対的な一枚という意味ではないんだな。・
うーむ、贅沢な悩みだ。

Magical Mystery Tour

そこで、ぼくが本当に好きなのは、
実はこの『マジカル・ミステリー・ツアー』だったりする。
別に通ぶりたいわけじゃないけど、歴史的名盤は
それぞれに多くの人が、めいめいに思いを持っているだろうし、
ぼくは、そこまで、深くビートルズマニアではなかったってことなんだな。
で、これはビートルズが主演した同名テレビ映画用サウンドトラックで
王道ではないし、観光バスに乗って、普通の人間が体験するマジカルでミステリーな小旅行、
このコンセプトにのっかってみようと思って聴いたら、
それまでぼくが描いていたビートルスのイメージとはちょっと違って
新鮮な感じがしたんだよね。
オリジナルは6曲入りのEPだったけど、
僕が聴いていたのは他のヒット曲を収録した米国編集版の方だった。
ま、いずれにしても、ビートルズは素晴らしいってことだ。
おそらく、この『Magical Mystery Tour』には
『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』の名残があるんだろうな。
かんがえてみたら、「Sgt. Pepper’s」自体が
「架空のバンドのショー」ってことだから、
もっと壮大なコンセプチュアルアルバムなわけだ。
それにくらべたら、『Magical Mystery Tour』の方は
こじんまりしているんだけど、そこがいいのだな。
今なら「GO TOキャンペーン」で行けそうだな・・・なんてね。

『Magical Mystery Tour』のなかでもっともコーラスが印象的なナンバーがこれかな。
「Your Mother Should Know」。

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