石井聰互『ユメノ銀河』をめぐって
その少女は天国を地獄に書き換える天才である 夢野久作ほど、この梅雨の季節に似つかわしい作家はいないと個人的に思っている。だから、ふとその書物を手に取ってしまうのだが、必ずしも陰湿とは限らず、誤解を恐れずに言うなれば読みだ...
その少女は天国を地獄に書き換える天才である 夢野久作ほど、この梅雨の季節に似つかわしい作家はいないと個人的に思っている。だから、ふとその書物を手に取ってしまうのだが、必ずしも陰湿とは限らず、誤解を恐れずに言うなれば読みだ...
雨降りだからJJの話でもしてみよう 愛に溢れたものはいつだって素晴らしい。好きなものに理屈など無用なのだ。愛の気配、波動、エネルギーは人を動かすガソリンってわけだよ。J・Jこと、サブカルの神様植草甚一を語るのに小難しい言...
あなたも今日から浴室男になってみませんか? その昔、パリ郊外に一軒家を借りていたことがあり、その際に感じたことの一つに、バスタブが長い、と言うことだけを不思議に記憶している。日本のバスタブは膝を折り曲げて入るぐらいのサイ...
〝らも〟しれない世界に紛れて 未来へ向かうより、過去に戻りたいと嘆く子供達。気持ちはわかる。わかるけれども、なんだか悲しい思いがするのは僕だけではないはずだ。僕だって、ときどき、過去をおもって感慨がこみ上げることはある。...
ヴェールを脱ぐ女、その抗戦のイリュミナシオン フランス、ヌーヴェル・ヴァーグの重鎮エリック・ロメールへの日本での評価として恋愛映画の巨匠なんて言われ方をしているのを見るとちょっぴり違和感がある。確かに、シチュエーションと...
デカダンサー、コンレスポンダンサーに憧れし君への交感日記 交 感自然は神の宮にして、生ある柱時おりに 捉えがたなき言葉を洩らす。人、象徴の森を經て 此處までを過ぎ行き、森、なつかしき眼相に 人を眺む。 長き反響の 遠方に...
それでもなお、ナオミは男のロマンたりうるのか? 男というものは、多かれ少なかれマザコンの気があるのだと思う。それはいくつになっても、である。その延長、かどうかはよくわからないが、どうやら自分の理想の女を、あたかもアバター...
フィルムの分け目を巡る、ちょっとブルーなエロ事まるかじり 好きな原作をめぐっては、好きな映画作家に映画化されるにこしたことはない、と思う。仮にそれが失敗作だとしても、自分が認める監督による失敗なら許せることもあるが、そう...
不能者、と呼ばれる前に学習しておきたい奇異なる痴情の掟 谷崎潤一郎は単なる耽美的作家ではなく、痴情のもつれを俗物ギリギリの官能性を持ち出して描き出す作家である。それゆえに、その作品の映画化は後を絶たない。つまりは有数の映...
昼顔か薔薇か、エロスと快楽のせめぎ合い 完璧な美女、かどうかまではわからないがフランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーブがいわゆる美女であることになんら異議を唱えるつもりはない。とりわけ、若いころの彼女の美貌は、世の男性...