文学・作家・本

『GALA DAY LONDON』1952 IZISアート・デザイン・写真

イジスをめぐって

戦火の中で平和と愛を夢見たユダヤ人、 旧ソはリトアニア出身の写真家 イスラエリス・ビデルマナスは、 フランスに亡命し当初は画家を志望するも、 おそらくは生活の為に、 写真を選ばざるをえなかったのだろう。 フランスに帰化してまでそのパリに活躍の場を求め イジスという名で、主に「パリマッチ」のフリーランスカメラマンとして活躍し 「何も起こらない場所のスペシャリスト」と称されたのだった。

『和室』Henri Cartier-Bressonアート・デザイン・写真

アンリ=カルティエ・ブレッソンをめぐって

ライカというと、真っ先に思い浮かんだのが、 アンリ=カルティエ・ブレッソン、 フランスの著名な写真家であることは言うまでもない。 写真家集団「マグナム・フォト」で有名だ。 “決定的瞬間”をカメラで切り取ることに長けた写真家ではあり、 それらの写真もとても魅力的なのだが、 ここでは、むしろ、そうした観点をはなれ、 我々日本人には馴染みのある 日本座敷の静謐な一枚を巡って、考察して見よう。

やさしい女 1969 ロベール・ブレッソン文学・作家・本

ドミニク・サンダスタイル『やさしい女』の場合

それにしてもドミニクの目ヂカラが半端なく凄い。 まるで、相手を射抜いて石にでもしかねないかのように強く鋭い。 バスタブでおとした石鹸を夫から手渡されるシーンをみよ。 それがどこかで悲劇に直結していると思うと、胸が締め付けられる。 だが、夫との視線で癒やされることは一度もない。 心の距離もまた、縮まることがない。 表情が緊張から解かれることがないのだ。 まるで手を離れた凧のように、離れてゆくばかりである。

白夜 1957 ルキーノ・ヴィスコンティ文学・作家・本

マルチェロ・マストロヤンニスタイル『白夜』の場合

そんなヴィスコンティ版 「白夜」においてのマストロヤンニは 別にちょいワルでも色男でもない。 夢想家というか、恋というものに ただ幻想をいだく純情な男を熱演している。 そこには、いささかも外連味もなく、 人としての魅力を最大限にスクリーンに滲ませるのである。 何よりも初々しいのだ。