映画・俳優

『昼顔』1967 ルイス・ブニュエル文学・作家・本

ルイス・ブニュエルの『昼顔』をめぐって

『昼顔』では、まさにそんなドヌーブの艶を 単なるエロティシズム以上のものとして漂わせている。 美しい肉体と品のある眼差し、そしてモード。 この時ドヌーブ24歳。 すでにロジェ・ヴァディムとの恋、そして出産、 そして姉フランソワーズの死を実生活で受け止めながら、 まさに女としての艶が開花してゆくドヌーブは すでにこの映画的な官能のムードを ナチュラルに作り上げているのは素晴らしい。

『last tango in paris』1972 ベルナルド・ベルトルッチ映画・俳優

ベルナルド・ベルトルッチ『ラストタンゴ・イン・パリ』をめぐって

まず『ラストタンゴ・イン・パリ』の強烈なインパクトを、 どうにもこうにも抗えない悪夢のように、 多感な映画的感性の神経の溝をじっとりと湿らせ、 あるいはヒリヒリとした後味でもって刺激されたことを、 いまなお手に取るように覚えている身としては、 こいつをまず肴に、御題目を唱えないわけにはいかない。

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.15映画・俳優

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.15

そんなわけで、春たけなわの今、 個人の趣味的範疇において、エロティシズム漂う映画について考察してみよう、 そんな欲望がにょきっと頭をもたげている。 それは必ずしも、直接的でない表現かもしれないし 言葉に依存したエロというものかもしれない。 単に個人的なエロスの観点がさらされるだけだが ひとついえることは、それらが滲ませるエロティシズムは とても興味深いのものだということだ。 人間の生の営みのなかに存在する官能性を喚起するものである

『㊙︎女郎責め地獄』1973 田中登映画・俳優

田中登『㊙︎女郎責め地獄』をめぐって

趣ある本物の浄瑠璃を伴って、 のっけからなんとも風情漂う石畳の上に書かれたクレジットがいい。 真っ赤な字のタイトルは『㊙︎女郎責め地獄』 カメラが真俯瞰で追いながらタイトルバックが次第に赤く染まってゆく。 そこからいよいよ岡場所に入ってゆくあたり、 じんわり痺れる傑作の予感漂うオープニングである。

花と蛇 1974 小沼勝文学・作家・本

小沼勝『花と蛇』をめぐって

その原点は、「ポルノ度」の極めて高い小沼勝の手によって 換骨奪胎された、この『花と蛇』によって始まったと言えようか。 日活ロマンポルノ界のマリリン・モンローと言わしめた 谷ナオミとのコンビによって 薄暗い渦中にも、堂々陽の目を見た重要な作品である。 この『花と蛇』を見て、谷ナオミに胸をときめかせたという、 今や中年以降であるはずの紳士たちも多かろうと思う。 あるいは、その筋の道に引き込まれたマニアもまた 少なからずいるのであろう。