文学・作家・本

快楽の漸進的横滑り文学・作家・本

アラン・ロブ=グリエ『快楽の漸進的横滑り』について

1953年に『消しゴム』でデビューして以来 『覗く人』『嫉妬』など次々と文学的問題作を発表してきた作家ではあるが、 幸い、ロブ=グリエという人は生涯9本の映画を撮っており、 アラン・レネの『去年マリエンバートで』の脚本をも手がけているぐらいだから 映画というジャンルにも並並ならぬ意欲を示してきた作家と言える。 実はその作品の一つ『快楽の漸進的横滑り』について 何か書けるかというところから 長々と前振りを書いてきたのである。

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ロピュマガジン【ろぐでなし】創刊号

人であれ、ペットであれ、物であれ、ひとはなぜゆえにあれほどまでにその対象を偏愛してしまうのだろう? 通常の眼差しをわけもなく凌駕し、その対象へとのめり込むことの情熱。対象を語るということで滲み出してしまう偏愛への序章は、そのまま主体側の個としての資質、いわば重要な側面をすでに表出させているように思える。