ミロスラフ・サセック『This Is〜』シリーズのこと

This is Munich

ワンダフルイラストラベリング! これぞThis Is Mr.Travelin’man

今思えば、「GO TO TRAVEL」という企画は、
政府が試みた政策中でも適切で、なかなか殊勝だったなと思うのだが
結局は世論の前に握りつぶされ、日本の経済とともに沈んでしまった・・・
旅行そのものは好き人間なのだが、世の中の情勢は
どうにも旅行気分を削ぐ方向へとながれており、
さすがに、数々の面倒や制約の前に
それに抗う気も失われつつあるのが正直なところ。
哀しいことだ。
よって、せめてもの抵抗として、
心のベクトルだけは、常に異国への旅、
見知らぬ土地への思いを繋ぎ止めておきたい。

海外旅行ガイドブック『地球の歩き方』に
世話になった旅行者って少なくないんじゃないだろうか。
かくいう自分もかつてはそうだった。
世界各国、どんな秘境でもガイドがあるというのは
旅行者にとっては心強くありがたいことだ。
今、時代はインターネットという便利なものが支配し
そこまでの影響力はないかもしれないけれど
それでも、旅行関係の本というのは
眺めているだけでふむふむと楽しいものだし
旅心、イマジネーションが膨らむのは間違いない。

ところで、ミロスラフ・サセックというイラストレーターが描いた
『This Is〜』シリーズがとても好きなのだが、
そのことを書こうと思っていたにも関わらず、
サセックという人の情報はというと
未だほとんど入手できていない。
いまから100年前のチェコスロヴァキア、プラハ生まれで
チェコで建築を勉強した後、
パリへ出てボザールで美術を学ぶ。
地元へ戻って出版社で働くが
世界の都市を自分の足で歩き、目で見たものを描いて
その国の文化や暮らしを伝える絵本を残した人。
せいぜいその程度の情報しかない。
個人的な資質やエピソードなどは不明である。

もっとも、『This Is〜』シリーズが
世界中の子どもたちに愛され
大人でも見いってしまう楽しさに満ちあふれた
この絵本の作家の人となりは
この絵本を通じても十二分につたわってくる。

素敵なことに、エッセイスト松浦弥太郎さんの尽力によって
生誕100周年を記念して
サセックの『This Is〜』シリーズ18巻が復刻されているから、
おそらく随分と人口に膾炙している。
自分がサセック初めて出会ったのは
確か、古本市か何かで、他の本に紛れていた
サセックの絵本を偶然見つけ即購入。
海のものとも山のものともわからぬまま
あれは『This Is Munich』(ドイツのミュンヘン)で
時代をへて色あせた風合いと微妙に版ズレしたような絵が
ナチュラルに成熟した古本だった。

その世界がとてもキュートに思え
購入してから事あるごとに眺めていたに過ぎない。
その後、サセックのシリーズが全世界
各都市に渡っているのを知って
再び古本巡りが始まったが、値もはったし
そう簡単には入手すらできなかった。

その後、復刻シリーズに行き着いて
何冊かを衝動買いした経緯がある。
どれも時代背景は感じるものの
ノスタルジックな風景として心踊らされることは間違いなく
ストーリーのある絵本というよりは
架空の旅日記、絵日記として眺めていくうちに
行ったこともない風景の旅人となっていたのであった。

そんな旅先案内人たるサセックの仕事ぶりは
それは原本ではないコピーからも窺い知れた。
建築を学んだという感性が反映され
一枚一枚の絵がとても丁寧で、何より都市の魅力を
そのアルチザン的な水彩タッチにこめ
各都市への愛情が実に丹念に読み取りうるものとしてしあげられている。
まさに、これから歩くであろう、旅人達への親しみが
こもったガイドであるということ。
それが一番の魅力なんだと思う。

たとえば『ジス・イズ・パリ復刻版』を眺めていると

高さ300メートルもあるエッフェル塔。
もし階段で上までのぼるとしたら、1665段も階段があるんだって。
松浦 弥太郎訳

そんな素敵な豆知識や情報に出合ってほっこりできる。
見知らぬ世界を夢見るこども達に
ぜひ手に取って眺めて欲しいものだ。

travellin’man · Leyona

音楽で旅をする、Travellin’manという響きがいい。大好きなシンガーLEYONAの、2002年リリースの『NIJI』というアルバムに入っていた「travellin’man」。ソウル感じさせる名曲だ。これは2007年に出た『Rollin’ & Tumblin’』というライブ盤に入っていた、そのライブ音源は、これまた渋いアレンジになっているね。

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