ジーナの姐御とカサヴェテス一家を関西弁で讃えるの巻
カサヴェテスの『グロリア』っちゅうんを
ひさびさに観直してみたろ、ちゅうことでね。
うむ、やぱりジーナ・ローランズいうんはかっちょええ女やなあ。
これぞ、姐御のなかの姐御やわ。
毅然とワルに立ち向かう、アメリカ版ゴッド姐ちゃんやね。
ま、元がワルの姐御なんですけど、
あるとき、親友の夫がマフィアの情報垂れ流したとかで、
一家丸ごと惨殺されるきっつい運命で、
この子をどうかよろしく、ってなふりで、
ちいこい坊やフィルくんを抱え込むことになりよるねん。
そこから、最初は「なんやこんなクソガキ、しらんがな」
みたいな空気やってんけど、そっからが本領発揮。
次第に、フィルくん愛おしになってきますねん。
ま、いうても相手はマフィアでっさかい、
これが執拗にその坊やねらってきよりますねん。
フィルが抱えてるノートには、
いろんな秘密が書き込まれてるよってに、
情報のもみ消しはかってそれをよこせ、いうことやね。
ほんで、二人はニューヨーク中をかけずり回りまして、
敵がきよったら、バキュン1発姐さんがチャカをぶっぱなす、
ほんでもって,フィルくんを命がけで守るんやね。
この辺りのアウトローっぷりと母性とのせめぎ合いっちゅうんやろか。
ええんですわ。
しかしまー、この子もさすがにませとって、
「オレは一人前の男やぞ」ってなもんで、強がるわ、可愛ないわけで、
「あんたに惚れた」やの、まクソ生意気盛りのガキですわな。
でもねえ、そこは結局、いうても子供やから可愛いわけよねえ。
ときたま、ほんまマジに大人と子供の垣根越えて
ケンカするんもサマになっとります。
親子以上に情の通うた、こういうシーンはええなあ。
そんなこんなで命がけの逃避行で、
最後はちょっとしたしゃれた結末が待ってるねんなあ、これが。
これぞ、カサヴェテスの最大のエインターテイメント、
最高傑作ちゃうんか、思いますわ。
ブロンクスあたりの街並で、かなり大規模に野外撮影してまっけど、
街並もええ雰囲気で入ってきよるしな。
そして最高にスリリングな展開で、ワクワクドキドキしまっさかいに。
見ておくんなはれ。
カサヴェテスいうんは、
アメリカインディームービーの、いうたらおやっさんみたいな存在やねんけど
見事なまでにそないな威厳いうんか、オーラは出さへんし、
あくまでもインディペンデントの雄を孤高に押し通すんやね。
わいはもう大好きな監督さんのひとりでっけど、
そのスタイルいうんは、いままでの映画づくりに一石投じるような、
自由気ままで、ほんでリアルに瑞々しい文体やさかいに、
多くのフォロアーがいてまんねんな。
いうなりゃ、リュック・ベッソンの『レオン』
あれなんか、もろ、この「グロリア」のパクリやん。
でもま、なんしか温度がちゃうし、
やっぱジーナ・ローランズ姐さんの存在感いうたら
そんじょそこらのおなごじゃ真似でけへんし。
ジーナ姐さんはカサヴェテスの嫁さんでもあるわけでね、
文字通り二人三脚の映画づくりで、
ジョン兄やんははように他界しはりましたが、
生前の苦労はいかほどであったか思たらね、
ほんま大変やったんやろな・・・
そら、映画作りなんていうたら、堅気のやる仕事やないもん。
いうたらやくざもんですわ。
ほいで、ボンボンのニックいうたら、兄やんの意志を受け継いで、
現役映画作家として活躍しておりますわな。
がんばれ息子よ、おとんを越えろ!ってな言葉が
天国から聞こえてきよりますけど、
親父はほんま偉大やってんな、とおもてんのとちゃうやろか。
まさに最高の映画家族やいうことやね、
カサヴェテス一家っちゅうんは!
あはは、浪花節のカサヴェテスは、
どないいうたかて、粋には響かんもんやねえ。
ごめんちゃいなブッキー。
Patti Smith – Gloria
ヴァン・モリソンがいたゼムのカヴァー曲「GLORIA」。メイプル・ソープの撮った凛々しいパティ・スミスの『HORSES』の一曲目を飾るナンバーだ。可愛い女の子ををみつけてモノにしたことを誇らしげに歌ったヴァン。ある意味、それは男の勲章だ。しかし、パティが歌うと一転して意味が変わる。女であること、女に甘んじるということなど意味はない。興味はないのだ。糞食らえ。10代の頃から、ランボーの「イルミナシオン」が彼女のバイブルだった。既成の生き方など、彼女の範疇にはない。そんなパティはロックンロールを切り開いて生きてきた。男とか女とか、そんな縛りは無用だ。そう、ジーナ・ローランズが身をもって少年を守ったのも「愛」なんかじゃない。自分の人生の戦いの一部に、たまたま彼がまぎれこんできたからだ。お涙なんて糞食らえ。彼女は拳銃をぶっ放し彼を守った。パティはそんな思いを詩で書いて歌ったのだ。
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