岡本太郎『太陽の塔』をめぐって

太陽の塔 イルミネーションマッピング
太陽の塔 イルミネーションマッピング

千里の丘に屹立する太陽の塔に、葺などたつことはないのでアール

特集アヴァンポピュールのトリはズバリこれしかない。
そう、あの岡本太郎の代名詞たる太陽の塔のことだ。
眺めているだけで、なぜだか元気が出てくる、
我が大好きなスポット、大好きなモニュメントである。
岡本太郎本人そのものの持つエネルギーも規格外だが
この塔のパワーは、本人がすでにこの世にいなくとも
その存在感を全く色あせることのなく保たれる絶対性だ。
その波動は、まさに生きる人間の生命源なのである。

岡本太郎の魂を受け継ぐこの巨大なモニュメントは、
1970年の万博に登場して以来、
約半世紀にも及ぶ年月を千里の荒野に
超然とひとり屹立しながらも
時の移ろいの前にも微動だにしない強さがあり、
何度見上げてもいまだに
この僕に生きる勇気を与えてくれる
永遠の存在なのである。

足を運ぶたびに、人智及ばない不思議な磁場を感じる。
それでいて、どこまでも雄大で、どこまでも親和的である。
人間が古代このかた求め続けてきた英知そのものが集約されている。
この感覚の共有者はきっとたくさんいるに違いない。
何事の前にも揺るがぬ力、
それは灼熱の太陽の化身であるがゆえの、
内部の熱に抗う反動的エネルギーが充満していることの証
そのものなのかもしれない。

博覧会当時、掲げられたテーマは「人類の進歩と調和」。
高度成長期における日本そのもののテーマでもあった。
そのシンボルがこの太陽の塔である。
全長70メートルに達する巨大な塔は、
頂部に黄金の顔、正面に太陽の顔、
そして背面には黒い太陽といった3つの顔をもっている。
いってみれば、これは未来、現在、過去に置き換えられ、
古からの、万物のエネルギーの源泉というメッセージが込められている。
これら、視覚的にさらされた地上部門に対し、
当時は生命の神秘に対する根源的なエネルギーの巣窟として
地下空間が展示開放されていた。
その後地下空間はイベントとともに解体されたのだが、
長い間、沈黙に伏していたその内部が再生され
数年前から公開されている。

不本意ながら、いまだ内部をこの目で鑑賞していないので、
そのエーテルを目一杯に吸って体感したわけではないが、
地底の太陽として、41メートルに及ぶ生命の樹というモニュメントに
原生動物や恐竜、人類等の生物模型が
33種183体にわたって飾られているという。
約半世紀をへて、再生されたこれら地下の太陽エネルギーと同時に、
数年前まで、十二月の暮れも押し迫った千里の夜には
この巨大モニュメントに様々な映像が投影され、
サウンドとともに色鮮やかに繰り広げられる
プロジェクションマッピングによるイベントが開催されていたのだが、
そこで、新たにこの太陽の塔の持つ果てしなき可能性、
未来に向けた塔のメッセージそのものを嗅ぎ取ったものだ。

太陽の塔は永久不滅の生命の体だが、
絶えず進化し続けるあの岡本太郎が提示した絶対のエネルギー
そのものを宿しているわけでもある。
それは芸術を超え、国境や人種あらゆるものを超え、
超越した人類の起床を告げる道標でもある。
塔本体を自在に埋め尽くす
斬新なプロジェクションマッピングやサウンドに対しても、
実に寛容に小細工なしで開かれており、
まさにこの巨大な塔を、単なる鑑賞物だけでは終わらせない
進歩と調和という強い太郎スピリットが
今なお脈々と流れ、自由に投影されてゆくのを見て、
あたらめて太郎スピリットの偉大さに感動したものだ。
我々はこの塔のスピリットを社会
ひいてはこの存在の上に見出さねばならない。

そのための破壊と再生のシンボルとして、
今、この時代だからこそ、
不確かだが、どこまでも可能性に導かれた未来を前に
再び太陽の塔に希望を託したいと思うのだ。

太陽の塔オフィシャルサイト
https://taiyounotou-expo70.jp/

太陽の塔の波動を体感できる音楽

ROVO:PYRAMID

ちなみに、僕の大好きなバンドである
Rovoの前身が「太陽の塔」という名前だったっけなあ。
あれほどまでに、その世界観を体現してくれているバンドは
なかなかいないよなあ。
いつか、太陽の塔の下でRovoを見てみたいなあ、それが夢なんだよ。
ちなみにこの『pyramid』は46分もある長尺ワントラックの人力トランスだ。
これを聴いているときには、まさに太陽の塔を仰ぐときと同様
擬似高揚間が味わえるのであります。

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