ゲオルギー・ダネリア「不思議惑星キンザザ」映画・俳優

ゲオルギー・ダネリア「不思議惑星キンザザ」をめぐって

カルトと言っても、おどろおどろしかったり 際物的な表現で誇張されているわけではない。 それゆえに「不思議惑星キン・ザ・ザ」において 「クー」に代表される、実にとぼけていながらも、 不思議な魅力に満ちた雰囲気が 日本でもコアなファン層獲得の一翼を担ったことは想像に難くない。 何ともほっこりとした気分をどう言葉にすればいいかだが、 とりあえず、「クー」といってほほえむだけで その場は和み、気持ちが通じるのがこの映画の面白さだ。

TRAFIC JACQUE TATI映画・俳優

ジャック・タチ「トラフィック」をめぐって

内容からすれば、おしゃれなコメディータッチのロードムービー風 とでも言えるのかもしれないけどね。 やっぱし、これは日本的ではない なんてーのか、インテリジェンス、ウイット、ユーモア ジャンルの型にはめようとすると限界があるんだけど ぼくはそれを「ユロビートムービー」と名付けよう。 オフビートタッチのロードムービー、うん、ま、そんなところ。

アキ・カウリスマキ「マッチ工場の少女」映画・俳優

アキ・カウリスマキ『マッチ工場の少女』をめぐって

少ないセリフ、感情を排した演技、そして絶妙な音楽センスの3点セット。 その中で主役を演じるのがカティ・オウティネンだ、 今日まで長年カウリスマキ組のミューズを張っている女優。 はっきり言って、美人でもなきゃ、愛嬌のかけらもない。 言うなれば薄幸の女そのものであり、 少女というには随分籐が立っている女(それでもまだ若い)だが カウリスマキ映画には以降欠かせない女優となる。

特集

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.32 オフビート大好き人に贈る“ツボ”にはまる映画特集

オフビートってものを考えると、ついつい饒舌になり勝ちで それでいて、なんか小難しく考えて悦に入るようなところもあるが 総じて、曖昧かつ懐の深いものであるという魅力を感じている。 その辺りの考察を含めて、あくまで個人的な感想の域を出ないが、 ここでは、オフビートは言葉の遊びのようなものとして捉えて欲しい。 あたかも、音楽を聴くようにしてオフビートを楽しんでみよう、そういうことだ。 オフビート万歳。

太郎・かの子・一平文学・作家・本

岡本かのこのこと

とりわけ、太郎は、母かの子の多大なる影響を受けている。 かの子は童女のようでいて、潔癖なまでに純粋を貫くがゆえに 周りの情緒をも狂わせる女の狂気を孕んで生きた。 本人は情愛の化身のように小説に身をぶつけ、 時には母として、時には恋人、あるいは娘、妹・・・ 眷族の垣根を超えて交わる魂の交歓を求め、 激しく、そして誰よりも太郎を愛した。 太郎もまた、芸術に挑むのと変わりないエネルギーを この母に傾注した。 もっとも、太郎はそれを対等な関係であり 通俗的な母と子の因果関係の馴れ合いではないと強調する。