耳で考え、目で理解する老舗レーベルの底知れぬ魅力(前編)
ブルーノートがモダンジャス、あるいは 良きアメリカ文化を体現しているとすれば マンフレッド・アイヒャーが設立したECMレーベルというのは 何ものにも似ない格式の高いヨーロピアンテーストであり 洗練された美意識に通じた音をを配信するイメージがある。 とりわけNEWシリーズなどはクラッシックや現代音楽を意識した ポストジャズのカラーを前面に押し出している。
ブルーノートがモダンジャス、あるいは 良きアメリカ文化を体現しているとすれば マンフレッド・アイヒャーが設立したECMレーベルというのは 何ものにも似ない格式の高いヨーロピアンテーストであり 洗練された美意識に通じた音をを配信するイメージがある。 とりわけNEWシリーズなどはクラッシックや現代音楽を意識した ポストジャズのカラーを前面に押し出している。
ブルーノートというと、創始者であるアルフレッド・ライオンのことを 真っ先に取り上げるべきだろうが ここではカバーアート、ジャケットデザインのことに限っておく。 そうすると、なんといってもリード・マイルス そしてフランシス・ウルフのフォトグラフ、 この才能の素敵な邂逅が、音楽業界とグラフィック・デザイン業界に与えた影響力に自ずと触れることになる。 まさに文化遺産ものだ。 デザインに関わる人間なら おそらく影響を受けていない人はいないんじゃなかろうか?
ここでは、音からではなく、ビジュアルから入る音楽の楽しさを 考察しているわけだが、 やはりファーストインプレッション、第一印象にして 目を惹くというものは、人間の摂理上、 普通にあることではないだろうか?
自分はある時からモノとしてのコレクター生活を放棄してしまった。 モノからは隔ったとはいえ、今もその思いは消えてはいない。 所狭しと並ぶレコードは圧巻だ。 かつてはそもそもレコードショップしかなかったのだから。 そこで、一枚一枚手にとって眺める楽しさは忘れられない。
そんな伝説のバンド、ピンク・フロイドを中心に、 そのジャケットワークを手がけたデザイン・チームこそが 「ヒプノシス」だ。 今日はそのアートワークについて書いてみたいと思う。 ヒプノシスのリーダーであるストーム・ソーガソンと、 ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズ、シド・バレットとは 高校時代からの仲間だった。 その縁が取り持って、あのような歴史的名盤との共犯関係が 続々出来上がっていったのである。
ミリキタニことジミー・ツトム・ミリキタニ、 本名を三力谷勉(漢字で書くとなるほど納得する)といい、 カリフォルニア州サクラメントに生まれた日系人で 一度郷里日本の広島での生活を経由し、 いうなれば、帰米(キベイ)者として 「優れた日本の芸術を世界に紹介する」という大志により 再度海を渡った気骨ある人物である。 そのドキュメンタリー映画『ミリキタニの猫』が 多くの人の心を鷲掴みにした出来事となったのである。
パリ発ぶさかわキュートなイラスト、キラリ。 今時、単純にキレイだけ、可愛いだけじゃなかなか人の気を惹けやしない。一億総カワイイ時代。そんなわきゃないな・・・・とはいえ、ぶさかわ、なんて言い方がもてはやされている昨今の事情...
見た目のおどろおどろしさや、 異物感を差し引いても偏愛したくなるもの。 そういうものがキッチュと呼ばれるわけだが そうしたものを美術として認識することで ロウブロウが生まれる。 別にデタラメでも下手ウマでもない。 そのポップシュルレアリスムのゴッドファーザーと呼ばれているのが マーク・ライデンである。 この世界に触れればロウブロウを無教養などと 訳すことはまずないだろう。
色彩の躍動、シンプリシティ。 ホックニー讃歌こそは、まさに生きることを肯定することを意味する。 ホックニーの絵の前で、誰の眉間にシワが寄るだろうか? 存在そのものが眩しいのだ。
特集の最後はこの人に飾っていただくとしましょうか。 イタリアンデザインの父にしてイタリアの至宝デザイナー、 ブルーノ・ムナーリさんの登場です。 888と書いて、ヤァ!ヤァ!ヤァ!、でもいいけれど ここはひとつパチパチパチということで。