真夏の爆音ブギで心ウキウキ。

好きな音楽を生で直に聴く、いわばライブという体験は
なににも代えがたい贅沢のひとつである。
まさしく音楽の醍醐味であるけれど
今、その楽しみが制限されてしまっている。
残念でならない。
当事者たちの無念の心の叫びを聞くのは辛い。
ならば、劇場で音楽ムービーを爆音で、という企画もあるが
それでも、制約はいろいろある。

これまで、何も制約がなかったことが幸福だったのか、
あるいは、今、この社会、この事態が異様すぎるのか、
そんな議論すら虚しくなってくる。

だが、嘆いてばかりもいられない。
常々、音楽というものに癒され、励まされ、楽しみをもらってきた以上、
この切実な問題から目をそむけられはしない。
よって、ここはひとり部屋で爆音で音楽を聞いて、
いろんなモヤモヤを吹き飛ばしたい。
そんなこんなで、勝手に爆音リストなるものをつくってみた。
あくまでも、大きな音を競うわけではなく、その音楽を聞いて高揚するために
そのひとつの方法として、爆音で聴く、ということを設定してみただけである。

我が家の(真夏のカーニヴァル)爆音プレイリスト

Bang a Gong(GET IT ON) :T-REX

その昔、映画館でマーク・ボランのライブ映画『BORN TO BOUGIE』を爆音で聴いた記憶が蘇る。爆音という意味ではPOWER STATIONのカバーもオリジナル以上に迫力はあるけど、ぼくはやっぱり、このオリジナルの方が好きだな。

White Light White Heat  :The Velvet Underground  [LIVE 1969]

ヴェルベット・アンダーグラウンドの曲のなかでも、いかにも危険な匂いがするロックナンバー「White Light White Heat」。ボウイのカバーも好きだけど、ここもまたオリジナルを尊重しよう。ライブ演奏の高揚感がたまらない。

Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine (Live At The Olympia, Paris / 1971):James Brown

ファンキーミュージックの王道。ゲロッパことJBの「Sex Machine」。このパワー、この迫力。目には目を、暑さには熱さを。まさにスピーカーから汗まで伴った大音量で聴きたいJBの叫びで、マシーンのごとく踊りくるいたまえ。

Rock Steady :Aretha Franklin

ソウルの女王アレサ・フランクリンの曲のなかでも、最高にかっこいいナンバーだと思うのがこれ。チャック・レイニーのベースが実にいかしている。まさにメンフィスソウルの底力がディスコに君臨したナンバーともいえる曲で、ただただ踊り狂っていだきましょう。

颱風:はっぴいえんど

日本語ロックの金字塔、はっぴいえんどナンバーのなかでも、爆音で聴きたい曲はまずこれかな。鈴木茂のギターもすごいが、大瀧詠一に取り憑いたデモーニッシュで異様なテンションがすごい。災害や疫病に怯えるばかりが能じゃない? とばかりに勇ましく激しくくりひろげられる。

One Way Or Another:The Blondie

映画「コヨーテ・アグリー」内で流れるのは、ワン・ダイレクションのカバーだけど、ここはやっぱりその何倍もクールでかっこいいブロンディのナンバーを。
内容は恋の歌かと思いきや、デビーいわく、昔付き合ってた彼の、いわばストーカーソングなんだとか。なるほど。若きデビーは最高にモテ女だったからねえ。

Holidays In The Sun:Sex Pistols

まだシドがベースを弾いていた頃のピストルズを聴くことは、ぼくにとっては青春の一ページに戻ることでもある。だれもがもっていた若さと怒り、そして刹那の希望を込めて。ベルリンの壁に仕切られた分断ドイツを皮肉って、早口のジョニー・ロットンがまくしたてる。

COSMIC SURFIN’ – YMO 1979 LIVE at THE GREEK THEATRE

やっぱりこのころのYMOは神だなって、思うな。当然メンバーも若いし、曲がじつにいきいきしているし、時代を感じさせないし、今聞いてもかっこいい。汗をかかない音という認識だったけど、今思うとライブバンドとしてもすごい存在感と演奏力を誇っていたんだな。

パンク蛹化の女:戸川純

女の哀しみ、切なさを、パッフェルヴェルのカノンに託し歌った名曲「蛹化の女」で終わる『玉姫様』のバージョンを、ライブでパンクアレンジで演奏する狂気じみた暴走に、よりいっそう、悲しみの茎が伸びる。

サンセットマン:怒髪天

なぜか思い出したように聴きたくなるバンド怒髪天。なかでも「サンセットマン」は名曲だな。歌も演奏もなにもかもがいい。夕日を見ながら聞いていると、増子直純の叫びが直接心に刺さって、失われた記憶に明かりが灯るような気分になる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です