トロピカルなパンの響きがするプレイリスト
We Travel the Spaceways:ヤン富田
Liberty City :JACO PASTORIUS
ビッグバンドのなか、水を得た魚のように、とはこのことで、いきいきしたジャコのベースの合間を縫って、ジャズテイストのスティルパンのキラキラした音色まぶしいサウンドが堪能できる。演奏はオセロ・モリノー。
BE CAREFUL :VAN DYKE PARKS
スティール・パンを語るに、この人、このアルバムは外せません。ヴァン・ダイク・パークス の 『Discover America』から。この時期、カリプソに傾倒していたVDPの趣向そのままアルバムに仕上がっていると同時に、その分、アメリカという国の抱える矛盾に対するアンチテーゼが潜んでいるような気もします。自分たちの尊厳、文化を断ち切られたアフリカン・アメリカン達が生み出した音楽への賛歌と申しましょうか。
NABI’S NAPPING:村上“ポンタ”秀一
1978年リリースの、村上“ポンタ”秀一の幻のセッション・アルバムは、日本のジュージョンの最高峰の凄腕フュージョンミュージシャンが結集した名盤だが、このアルバムからわざわざ取り上げたのは、そのスティールパン奏者が、なんと細野さんだということだ。器用にこなす腕もさすがだが、こういうタイプの音楽にも難なく順応する細野さんを改めてリスペクトしたい。
Pride:Robert Palmer
通算7名目の『PRIDE』からのタイトルチューン。地味ながら、コンスタントにブルーアイドソウル路線を歩んできたロバート・パーマーが、本格的にブレイクするのはまだこの後だが、エレクトリック路線へと傾倒しはじめ、本作ではカプリソ風味なナンバーをご機嫌なアレンジできかせる名盤だ。録音はバハマのコンパスポイント・スタジオ。
higher & higher:John Valenti
元パズルのドラマーで、「白いスティーヴィ」とまでいわれたジョン・ヴァレンティによる、フリーソウル~AORファンから人気の高い名盤「Anything You Want」からの一曲。
MALAIKA :ONO LISA
ブラジル、日本、そしてアフリカ。ブラジルだけにとどまらず、いろんな国のポップ・ミュージックを解体して、独自にボッサテイストに仕立て直してきた小野リサの音楽は、人を幸せにする。このスワヒリ語で「天使」の意味をもつ「マライカ」は、熱い太陽の日差しをいっぱいあびた健康的なスティールパンの響きが気持ちよく耳に飛び込んでくる。
真っ赤な薔薇とランデブー:中山うり
実力派SSW、とわざわざ強調することもない中山うりのセカンドアルバム『VIVA』から。情緒感あふれるアコーディオンを弾きながら、異国情緒たっぷりの素敵な歌を聴かせてくれる。あくまでスティールパンはアクセントだけど、明朗な曲調をさらにカラフルに彩っている。スティールパンはサカモトジャイ庵。
スカートの砂:UA
UAの通算3枚目のアルバム『TURBO』のラストを飾る実に雄大な曲。相性のいい朝本浩文とのコンビネーションがばっちきまった「スカートの砂」で、スティールパンを叩いているのは原田芳宏。ちなみに、この雰囲気のあるPVでは、あの映画『バグダット・カフェ』のパーシー・アドロンが監督している。
四面道歌:細野晴臣
トロピカル三部作の最後を飾る「はらいそ」から。やっぱり、この人の曲で締めくくらせていただきます。ミスタートロピカルダンディこと音楽王ハリー細野の「四面道歌」。だれにもまねできないリズムの妙、そこに自身でスティールパンを散りばめてのジャパニーズエキゾチカ・・・もうこのあたり、お手の物なんですよね。
日本のスティールパン第一人者であるヤン富田のソロアルバム『 Music for astro age』からの一曲。エクスペリメンタルで、コズミックで、モンドで、トロピカルで、ポップ。すべてを兼ね備えた音楽がここにあります。