我が家の春の定番セレクション:其の参

我が家の春の定番セレクション:其の参
我が家の春の定番セレクション:其の参

春というのは、何も陽気でうららかな日ばかりでもなくって
時に不安定、時に、アンニュイ、そして気まぐれなもの。
まさに狂気を秘めた光を彩なすそんな季節でもあります。
そうした春の一面を飾るに相応しい10枚のセレクトを
さらにまた続・続編として書いてみよう。

Vespertine:Björk

世のひきこもりのお嬢ちゃま、
はたまたオタクのおぼっちゃまたちにも勇気と希望を与える
「夜に咲く」人間ビョークの神髄ここにあり。
ぐっと内省的で、自己をみつめる真摯な姿を反映していて、
前作「ホモジェニック」よりもこちらが好きですね。
地味だけどこのエレクトロニカサウンドは痛みをもった人間にはすこぶるやさしい癒しの音というわけです。
根はきっと「ダンサーインザダーク」のセルマと遠からずってとこでしょうか。
オピエートのノイズアンビエントが心地よい。
まさに春を感じさせる「Pagan Poetry」に
あるいは「COCOON」の中で
まどろむような眠りに誘われる感じに酔いしれますね。

Aurora · Björk

Naturally:J.J. Cale

ジャケットだけ見るとまずジャケ買いはしないかと思いますが
中身は本物、素敵なアメリカンルーツロックにレイドバックした感じがたまらなく心地よいクラプトンも憧れたJ.J. Caleの名盤。
一度聴くと癖になるアコースティックなダウナー音楽で、
思わず、舟をこいでしまいそうになるようなのどかさ、
気持ちよさに酔いしれるでしょう。
ちなみにJ.J. CaleとJohn Caleは全くの別人で、音楽の毛色も百八十度違います、そんなことはどうでもいいか。

Crazy Mama · J.J. Cale

On and On:Jack Johnson

どちらかと言えば夏向きか。
というほど夏を感じさせないものの
初夏から初秋までの明るい日差しをあび
木陰で聴きたい、そんな一枚。
サーフィンミュージックと言えば
ウエストコースかレゲエか、などという時代でもありません。
ジャック・ジョンソンのフォーキーかつチルアウトな
アコースティックサウンドはサーフィンをしない人でも十分楽しめる名盤だと思いますね。

Jack Johnson – Times like these

GIDEON GAYE: The High Llamas

どこか西海岸風?
ビーチ・ボーイズ・フリークのショーン・オヘイガン率いる
ハイラマズのサウンドにはイギリス人らしからぬ
おおらかさ、柔らかさ、キュートさが満載であり
そこが魅力になっている。
ポストロック的な位置付けにあるハイラマズだが
ネオソフトロックの要素を醸しながらも
新しいポップ・ミュージックの未来がここにある。

Checking In, Checking Out · The High Llamas

MY SONG: Keith Jarrett

『ケルン・コンサート』と並んで、キース・ジャレットの名盤の一枚であり、初期ECMを代表する一枚でもある。
北欧的な透明で、背筋がピンと伸びるような緊張感あふれるECMの音も好きだけれど、タイトル曲「My song」や「Country」のような、親しみやすいリリカルな音もいいんだな。
晴れやかなキースのピアノとのびやかなヤン・ガルバレクのサックスの音との共演が素晴らしい。

Keith Jarrett – My Song

SPIRITUAL VIBES :SPIRITUAL VIBES

音楽界のデュシャン?
美術や映像へと表現法を変え、ベルリンへ移住し
もはや音楽活動の声がほとんど聞こえてこなくなって久しいタケムラノブカズ。
そんな彼が、かつてトイズファクトリー内のベリッシマレコードでの第1弾アーティストとしてデビューを飾ったのがこのスピリチュアルバイブスだ。
とっくに影も形もなくなってしまったバンドにもかかわらず
いまだに僕はこのアルバムを思い出したように聴いてしまうのです。
ジャケットはサイレントポエッツの下田法晴によるものでこれまた素晴らしいな。

Spiritual Vibes – Scheme Supreme

ごあいさつ:高田渡

死ぬまで変わらなかったそのスタイル。
ずっと聴いていたいと思うほど
このアルバムにはいってる曲はどれも素敵、
でとてもタカダワタル的。
生活臭といってしまうとそれまでだけど、
軽妙でひょうひょうとしながらも、
ひかかってくる歌心ってのがある。
みんなそれにやられちまうんだろうな。
天国で、息子の蓮さんの活躍を見守りながら
今もきっとギターを弾き、歌い、
そして酒を呑んでいるのでしょうか?
はっぴいえんどのメンバーも参加している伝説のフォークシンガー高田渡、記念すべきファーストアルバム。

コーヒーブルース · Wataru Takada

Don Juan’s Reckless Daughter:Joni mitchell

ジョニ・ミッチェルはのアルバムで、いったいどれがいいかな、そんなことを考えはじめても、なかなからちがあかない
でも、やっぱりジャコとの共演盤がとてもいいなと。
なかでもこいつの力の抜け方は素晴らしいぞと。。
ジャコはジャコで自由に天才ぶりを発揮しているけれど
といって、ジョニが食われているわけでもない
まさに天才同士の掛け合いっていうのは
凡人にはとても理解出来ない
ひとつの内的言語で通じ合っているであろうことはまちがいない。
「Talk to me」のジョニとジャコはまるで鶏みたいだね。

Joni Mitchell – Talk To Me

A Love Supreme: John Coltrane

あまりも眩しすぎる演奏、音。
インド哲学にも傾倒していたコルトレーンの金字塔は
『至上の愛』なんというジャストなタイトルだこと!
「A Love Supreme!」と歌うコルトレーンの歌声に背筋がぴんくとする。
このフレーズは19回繰り返されていて、1は孤独、9は宇宙を、
だから19は宇宙を前にした一創造的な人間を意味するという。
で、1と9を足した10は神の顕現を示しているんだって。
うーん深い、ビチアス海溝よりもさらに深い
深すぎるコルトレーンに乗って宇宙へ突き抜けてみたい。

A Love Supreme, Pt. I – Acknowledgement · John Coltrane

Sweetest Music This Side Of Heaven

鈴木惣一郎のノアルイズ・マーロン・タイツ監修
78回転盤限定の戦前音楽コンピレーション。
古き良きアメリカが詰まっていると同時に
なんだか、今生きている日常に
こういう音楽のとけだした時間にいて
その空気を体感できる幸せを感じます。
まったりしていながらとてもロマンティックだったり
ほのぼのしていたり、のどかです。
レコードの溝からの贈り物に哀愁を感じますね。

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