気分良くかつムードを保って年を越すためのプレイリスト

さよなら2020年

今年も一年何とかやってこれた。
そのことではただ一言、
ありがとう、どうもどうも
(言うまでもなく、ハリー細野の名曲「ありがとう」の引用だ)
この感謝の気持ちしかないのであるが、
幸福の追求(そんな大袈裟なものでもないが)、
ひいては人生の道のりはまだ後半戦に入ったばかり
いよいよ仕上げの佳境がここから用意されている。
しかし、悠長に構えていたら、あっという間に終わってしまう。
それが人生だ。
まるで、大好きなレコードをかけっぱなしに踊り狂っていても
いつの間にか終わって
放心してしまうだけのようなものなんだろうな、きっと。

時間なんてあるようでない。
こうして年末がやってくるたびに、その思いは強くなるばかりだが
今の所、まだ、意欲、体力、インスピレーションといった
何かをなすための“元手”の方は
おかげさまで衰えを知らないらしい。
正直に言えば、諸々の不備ぐらいしょっちゅうあるし、
ポンコツっぷりも叩けば埃のひとつふたつ
出てくるのはもうしょうがないことだと諦めている。
それでも、こうして生きていられるのだから、
その証をなんでもいい、立てておきたい。
いや、そんな難しく考える代物なんかじゃないな、
ただ、ここに素直にメモの様に残しておきたいだけなんだ。

よって、今日は、この年のエッジにたどり着いて、
新年を迎えるにあたって聴く音楽リストを
ユーチューブの手を借りて、ただ適当に挙げておこう。
“適当”、いいね、この響き。
真面目な顔をして、民衆を煽るマスメディアや政府のいいなりになって
自由を奪われるぐらいなら、適当に生きて、
適当な分量の幸福を戴こう。
こういうものを書いておけば、
また来年の今頃との気持ちの変化にも気づくかもしれない。
それが何だと言われたら、いや別に、と答えるしかないが
これらの音楽と共にある自分は、
少なくとも幸福であることは間違いない証しなのだから。

細野晴臣 with 矢野顕子:終わりの季節

“季節の終わり”だったらわかるんだけどさ、
終わりの季節って、いつのことを言ってるのかね? 
それはこの曲を聴いて以来、ずっと思っていることなんだが、
冷静に考えれば、6時発の貨物列車の音が聞こえる時刻に
朝焼けが燃えているわけだから、春ぐらいなのかって思うけど
まあ、そんなことはどうでもよくって
今は正真正銘〝終わりの季節〝であることは間違いないわけで、
気分でこの曲を選んでみました。
ちなみに、この曲を聴くとなぜだか、
稲垣足穂の『一千一秒物語』を読みたくなってしまうんだなあ。

朝焼けが 燃えているので
窓から 招き入れると
笑いながら入りこんで来て
暗い顔を紅く染める

終わりの季節 by細野晴臣

David Bowie :Eight line poem

ボウイといえば、世紀末感こそ数々醸し出してはきたけれど、
いちいち年末的な音楽のつもりで作った曲なんてないんだろうな。
ただ、個人的にこの曲収録の『ハンキー・ドリー』と言うアルバムにはなぜだか、
七十年の年末感を思い起こさせる様なところがあって、大好きな一枚なのだ。
その中で、「Eight line poem」、つまりは「八行詩」と題された
実に素朴なタイトルの割りに歌詞が
ちょっと難解でシュールな一曲で、あえてセレクトしてみました。
詞の方はなんだかちんぷんかんぷんだけれど、
年末の静かな諦観には心地よい響きがする。

あなたが窓辺にみる抜かりなきサボテンが
部屋に広がる大草原を見晴らしている
モビールがゆれてガチャガチャと音を立て
クララはまどろみ顔を埋め
彼らはウエストサイドに店を開く
サボテンたちは落ち着く場所を見つけうるだろうか
でも街へと繰り出す手段は
空へと伸びる枝を留めるおひさまの下にある

Eight line poem by:David Bowie

高橋幸宏 : Saravah

高橋幸宏のファーストソロアルバム「サラヴァ」は
今訊いても名盤だと思う。
今年は、大病を患って心配させたけど、この人にはまだまだ頑張ってほしい。
そんな思いを込めて、聴いている。
「Saravah」とはブラジルに連れて来られたアフリカ人たちが
「彼らに幸あれ」という意味合いで使っていた言葉で、
決してさよならの意味ではないのだが、
やぱり、日本人はどこかで別れのさらば!
って思うっちゃうのかもしれない。
ま、そういう気分でいえば、
このお騒がせな2020年にさらば、
2021年に幸あれ、といくにはもってこいかも。

The Blondie:Faces

ブロンディの中でも大好きな一枚『AUTO AMERICAN』収録の
ノスタルジックで気だるい一曲。
これと年の瀬感がどう結びつくかはさておき、
「日本では「愛の面影」という訳からも
内容は曰く付きの彼を思い出す曲になっている。

Bob Marley:One Love

ずっと聴いていたい、この感じ。
結局、あらゆる問題、あらゆる難問も
この一曲で全ては解決してしまうのであります。
今年一年が良い年であった人も、悪かった人も
大切なことは一つだけ。それはまさに「愛」なのです。
つまらないことで争ってないで、
隣人に、優しい思いを込めて、微笑みを。
そんな当たり前のことを教えてくれる
ボブ・マーリーの偉大さに乾杯しましょう。

山下達郎: MY SUGAR BABE

この曲を初めて聴いたのはいつだったっけか。
80年代のとんでもなく自由なテレビドラマ
勝新の『警視 K』の毎回エンディングを飾った曲で、
ちょっとびっくりした覚えがあるんだけれど、
ま、その話は、またいつか書くとして、
いいな、このスイート感。
まさにシティポップという名にふさわしい大人のエレガンスが
魔法の様にとけだした名曲だなあ。
恋人がいる人もいない人も、この曲に浸って
さあ、目を閉じて、ひとときの甘い夢に包まれて
年を越すのも悪くはないでしょう。

ゆらゆら帝国:星になれた

ゆらゆら帝国と年末かあ。
なんとなく浮世離れした現実感がある。
今年もたくさんの人が亡くなりました。
有名な人、有名でない人、
とにかく、生まれてきた全ての人には平等に、
その権利と義務とを背負って生まれてくる。
だからといって、死ぬことは終わりではない。
なんて難しいことを言うつもりはないけれど、
「星になる」というロマンティックな感性を支持したい、
ただそれだけなのです。

Marvin Gaye:What’s Going On

「世界はいったいどうなってるの?」
「いったいなにが起こってるの?」
いくら叫んだところで、死んだ恋人は戻って来ず、
無意味な戦争の傷跡は癒えない・・・
もう言葉は無用、ではなく無力だ。
このスイートな曲を聴くたびに、
どうしてマーヴィンは
あんな悲しい死に方をしなくちゃいけなかったんだろ、って思う。
つくづく子供に過度な期待はするもんじゃないよって思うな。
言わずもがなのモータウンの名曲
この「What’s Going On」を聴きながら、
自分に向けての「いったいなにが起こってるの?」を考えてみるのです。

Tom Waits :new year’s eve

「Bad As Me」の中に収録された一曲。
トム・ウエイツには週末だとか年末だとか、場末だとか
とにかく終わりの季節が沁みる曲が多い気がするけど
やっぱり、これかなって思う一曲。
ある意味、そのまんまなんだけれどもね、
「蛍の光:がこんなに沁みることってかつてなかった気がするよ。

Japan:Temple of Dawn

ジャパンが年末を飾るっていうのもピンとこないかもしれないけども、
もともと解散ライブが年末だったし、
なぜか年末〜正月感がある音楽をつくっていた印象がある。
この曲はライブ盤『 OIL ON CANVAS』に収録されていたインストナンバーで、
作曲は寡黙なリチャード・バルビエリ。
まさにぴったりの曲だね。
そういえば、お寺のお坊さんたちの間でもジャパンは人気があったんだな。
これを除夜の鐘がわりに聴くってのも悪くはない。

最後に

音楽を生業にしている人たちや、それを支える人たちにとって
なんとも厳しい一年になった。
本当に、心が痛いところだけれども、
僕らをこんなに幸せにしてくれる音楽が廃れるわけがないし
また当たり前の様に、
音楽を通してあの素敵なバイブレーションを共鳴しあえる日が来ます様に。

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