ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.20特集

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.20

ダリだけではなく、シュルレアリストたちはみな、 多かれ少なかれ、その源泉をミューズたちに求めたという点で共通している。 そんなミューズたちをはじめ、純粋直感に導かれ ときに男たちを翻弄し、凌駕し、また愛や源泉として君臨し、 絶えずインスピレーションを与えつづけた存在に、 スポットライトをあててみようと思う。

Leonoir Fini 1907-1996"アート・デザイン・写真

レオノール・フィニをめぐって

レオノール・フィニと言う画家がいる。 エロティックでありながら甘美で幻想的ゆえに ややもすればシュルレアリストのレッテルを貼られがちではあるが 当人はそれを快く甘んじていなかった。 あらゆる因習に抗いながら、男性に服従することを阻み 性に対しても男遍歴においても 自由奔放に生きたフェニミストの顔をもつ女。

ユメノ銀河 1997 石井聰互文学・作家・本

石井聰互『ユメノ銀河』をめぐって

石井聰互(改め現岳龍)による 夢野久作原作のオムニバス小説『少女地獄』のなかの一編 「殺人リレー」の映画化である『ユメノ銀河』は、 全編モノクロームトーンで、まるで夢のなかのようなできごとが、 淡く甘美に綴られ、不思議な空気感を孕んだ作品として構成されている。 甘美とはいえ、終始謎めいており、 結論から言えば、それは最後まで一貫して晴れることはない。 まさに夢野久作ワールドの世界観そのものである。

植草甚一 1908−1979サブカルチャー

植草甚一をめぐって

植草甚一に教えてもらったことは 今でも大いに役立っていると思う。 『ぼくは散歩と雑学が好き』に代表されるように 散歩と雑学の楽しさ、古本と珈琲の日々、モダンジャズ、 映画に推理小説、そしてコラージュアート。 それだけにとどまらず、ジャンクアートやら それらが一体になって形成されていたJ・Jワールドは 今でも魅力的だ。

雑居時代 1973年〜1974年、日本テレビサブカルチャー

石立鉄男とユニオンドラマをめぐって

間違い無く言えることは、この石立鉄男が出ていた70年代のドラマは 掛け値なく面白かったということであり、 個性あふれる俳優と腕を持ったスタッフたちの奇跡的な共同作業が 時代の良き空気感をそこなわず、素朴でありながらも 同時に濃密にかつ熱く繰り広げられていたからだろう。 まさに良き昭和の風景がそこにあった。

大阪市環境局舞洲工場アート・デザイン・写真

フンデルトヴァッサーをめぐって

フンデルトヴァッサーという人は 人と自然とをアートで結ぶ エコロジストである美術家であり、 ドイツやオーストリアを中心に 世界各地にその思いを込めた建築物が残されている。 もっとも知られているのは、 祖国オーストリアのウィーンにある 『フンデルトヴァッサーハウス』と呼ばれる公共住宅である。 オーストリアの文化遺産にもなっており 市民から愛され、今も世界中からの観光客も絶えないスポットだ。

The Shape of Water 2017 Guillermo Del Toro映画・俳優

ギレルモ・デル・トロ『シェイプ・オブ・ウォーター』をめぐって

アカデミー賞最多13部門ノミネート、 映画ファンの生涯の1本、大大傑作・・・ いろんな賛辞が踊った『シェイプ・オブ・ウォーター』を 劇場で観てあれから三年も経つんだな。 早いものだ。 自分にとって、生涯の1本かと言われると、 即答できないところもあるのだけれど 面白く、そして切なく、要するに観終わって 実に充足感のあった良い映画だったのは嘘じゃない。

Le Parapluies de Cherbourg Jaques Demi 1963映画・俳優

ジャック・ドゥミ『シェルブールの雨傘』をめぐって

そんな自慢にもならない話をしたのは カトリーヌ・ドゥヌーブの話をしたかったからなんだけれど、 で、ドゥヌーブの出世作は 当然、ポランスキでもブニュエルなんかじゃなくって、 やっぱりドゥミの『シェルブールの雨傘』ってことになる。 ちょうどその女の人も、 あのころの初々しいドゥヌーブ嬢の雰囲気に 近かったことだけを覚えている。