五月とかいてイツキ、じゃなくサツキと呼ぶ。
素敵な響きだな。
ウキウキするよ。
全国の魂の健全なるさっちゃん、サツキちゃんたちに贈る五月のポエジーは
ずばり『YOU MAY DREAM』というわけさ。
ほんとせっかくのいい季節なんだけどなあ・・・
新緑薫るこの季節、本来ならウキウキのGWで賑わうはずの街並みも
ばかばかしい政府のグダグダの緊急事態制限とやらで台無しではござらぬか。
ぼくはもともと、オタク人間だし、人と群ないから、
自粛だの、禁酒だのというものに大きく左右はされないのだが、
それでも多くの無垢な犠牲たちの姿に心が痛む。
あまりの横暴ぶり、愚かさにあきれを通り越して、恐怖すら覚えている。
人間から自由を奪うことは何人にもできないはずなのに、
外の空気、喧騒、人々の笑顔が、まるで戦時中のような圧力によって
破壊されていくのには耐えられない思いでいっぱいなのだ。
どうなるニッポン?
そして僕らはどうなるのか?
そんなしかし、この生命踊る季節に、心踊らない人間に
なにをいっても虚しく響いてしまうだろう。
問題は個人個人が目覚めるしかないということなのだ。
せめて、音楽を聴く、本を読む、映画を見る、
といったいっときの暇つぶしでもいいから、
自分を失わないでほしい。
自由を失わないでほしい。
それがいやなら、たとえ外圧に否定されようがなんだろうが、
心の思うままに行動すればいい。
そして、夢見ることをやめないでほしい。
それが生きるという意味だ。
ただそれだけなのだ。
「YOU MAY DREAM」 の旗のもとに五月の風を集めて
真空パック:シーナ&ロケッツ
Skylarking:XTC
1986年リリース、XTC通算8枚目のスタジオアルバムは、
ドッド・ラングレンを迎え、アメリカのトッドのスタジオで行われた。それまでのニュー・ウェイヴ色からは一皮向けた新境地開拓といった雰囲気が充満している。
(レコーディング秘話を聞くと、とりわけ、アンディ・パートリッジとの間でそのイニシアティブの問題やバンド内のいざこざで、けっこうトラブル続き。
結局完成をまたず分裂気味の関係で、最終的にトッドの仕上げがなければ、完成していなかったとか)
その意味で、このアルバムカラーにおけるトッドの影響力は絶大だったということだ。
良くも悪くもイギリスを代表する音を奏でるバンドではあるのだが、それまでのトンがったXTCサウンドが好きな人にはちょっと面食らってしまうかもしれない。どの曲もメロディアスであり、完成度は殊の外高く、結果的に珠玉のポップミュージックが並んだ名盤となった一枚である。
Deja Vu:Crosby Stills Nash & Young
アメリカン開拓者たちみたな風情のメンバージャケットに、
50年前の単なるノスタルジーを感じている場合ではない。
これまた、歴史的名盤の域に達しているCSN&Yのアルバムを、
いまさらどうのこうの説明するまでもないのだが、
今聞くと、この時代の空気感、そしてこれからはじまるであろう、当然、日本のはっぴいえんどなんかともリンクしていて
そのタイトル「デジャヴュ」からしても、ロックの行く末を確実に予言しているように思えてくる。
今聞いてもゾクゾクさせられる名盤中の名盤。
みごとに四人の個性がうまく混じり合っているけど、
やっぱり、ニール・ヤングという人が一番危うい均衡を担っているのだな。どの曲も素晴らしいけど、個人的ハイライトはニールの「HELPLESS」ってことで。
Yauarete:Milton Nascimento
ブラジルの至宝、ミナス地方出身のミルトンの名盤はたくさんあるけれど、
同じくミナス出身の自作楽器演奏集団UAKUTIが参加したこのアルバムにはその独特の開放感、浮遊感の絶妙の隠し味で
ミルトンの楽曲でその個性が際立った輝きを放っている。
そのほかハービー・ハンコック、ウエイン・ショーター、ポール・サイモンら、豪華ミュージシャンの参加により、
ミルトンの影響力、偉大さを知ったアルバムで、
ちょうど、この時期の来日公演が目に焼き付いているのです。
SONGS -40th Anniversary Ultimate Edition-:SUGAR BABE
シティポップの元祖、というと陳腐だけれど
ター坊、タツローが在籍した伝説のシュガーベイブ、
大瀧詠一主催のナイアガラ・レーベル”第1弾である唯一のアルバムが30周年記念コンプリート盤としてリリースされている。
まあ、どう聞いても悪かろうはずもないのだが、改めて、このエバーグリーンな当時の空気感に脱帽するほかない。
日本のロック〜ポップミュージックの流れのなかで
重要な位置を占めるシュガーベイブの文句なしの名盤。
これを聴かずして、日本の音楽シーンは語れまい。
Autobahn:Kraftwerk
1974年リリース、クラグトワーク通算4枚目のアルバム。
23分にも及ぶヴォコダーを使ったタイトル曲は
クラフトワークを代表するナンバーであり、
テクノポップの源流として燦然と輝く名曲だ。
ちなみに、昔ぼくはこの曲の着メロを仕事用の電話に設定していたんだけど、このメロディを聞くと、さあがんばってスタートしようという気が湧いてくる。
また、個人的に、ドイツのアウトバーンを走行したことがあるのだけれど、この曲をBGMにして走行する夢はいまだ叶えられていないので、いつかその夢を果たしてみたいと思っているのです。
Nanae:Spangle call Lilli line
デビュ以来飽きずに支持してきた三人組バンドSpangle call Lilli line。
アートのバックグランドを共有するメンバーによる映像的かつ、ほんとうに気持ちのいいサウンドを構築する。
ポストロック〜音響派的な立ち位置でデビューした彼らも
すでに20年近い活動の継続のなかで、確実に進化し、ベテランの域に入ってきた。
彼らの2nd『Nanae』ではROVO、スーパーカーなどの活動で知られる益子樹氏をプロデューサーに迎えて、その音の個性の可能性が最大限に引き出される形になった。
Something / Anything:Todd Rundgren
トッドの名盤といえば、もうこれしかない。
名曲「I Saw The Light」収録の2枚組『Something / Anything』曲作りから、演奏、録音まで、一部をのぞいてすべてトッドの自作自演。なんとも才能豊かな人であることよ。
Give It Up:Bonnie Raitt
いまや貫禄のボニー姐さん、若かりし頃、セカンドアルバム。
最近のボニーも全然いけてるし、スライドギターの名手でもある彼女の代表作は『ニックオブタイムス』ってことになるのかな。ぼくはもう昔からずっと『Givi it up』を中心にボニーを聴き続けている。曲はどれも素晴らしく、名盤であることは変わりがないが
なかでも「Nothing Seems to Matter」が大好きなんだよな。
Sunshine Superman:DONOVAN
イギリスのフォークロックの草分け的ミュージシャンたちのなかでも、ぼくはドノヴァン推しですね。
なんといっても、シリアスな感じが全くしない。
どこまでもフワフワしていて、なんだかお花畑で流れているような、気持ちのいいトリップ感がある。
ドノヴァンのアルバムでは、結構いろんな楽器が使用されていて、それがサイケとか、フラワーチックでカラフルな効果を生んでいるんだろうな。
やっぱり、日本のフォークやアメリカのルーツミュージックとも違う、イギリスならではの洒落た感性が漂っているんだな。
いみじくもビートルズ『リヴォルバー』と同じ年66年のリリースで知名度では足元にも及ばないけど、中身は負けてはいない。
アルバムにはヤードバーズ時代のあのジミー・ページが4曲参加している。このアルバムの代表曲は「Season of the Witch」だな。
YMOに啓示をうけ、そのメンバーが関わったロックというので、僕の前に現れたシナロケだったが、このアルバムにはロック以前の魂に直接響いてくる波動があったんだな。
当時はニューウェーブのひとつとして聴いていた懐かしのアルバムである。もうシーナはいないし、永遠のロック少年鮎川さんも70を超えた。それでもまだ現役でやっている日本が誇るカッコいいバンドである。もう文句なしで「YOU MAY DREAM」をあげておきたい。
思春期の僕はよく口ずさんでいたっけな。
「それがあたしのすてきなゆめ、ゆめ、ゆめ」