[門戸無用]MUSIQ VOL.6

[門戸無用]MUSIQ

薄手のコートから厚手のコートへ。
カシミアのマフラーや手袋をひっぱりだしてきて、
いざ冬支度に忙しくなってまいりました。
まさにニットの活躍する季節。
でも、寒いからと言って、家にとじこっているのはちょっとさびしい。
賑やかな街に繰り出して、
やれ師走だ、やれクリスマスだ、やれお正月だ
ってな喧騒と人ごみにもまれながらも、
耳もとで鳴っている音楽に癒される。
この季節はタフじゃないとつとまりませんぞ。
音楽はどこまでも寒さ知らず。
いや、今こそ音で暖をとることを覚えよう。
そう、暖をとるためのセレクション。

我が家の秋から冬への定番セレクション 其の弐

●Double Fantasy / John Lennon

ジョンの命日が近づくにつれ、
毎年おんなじようなことを考えて、
同じように、これを聴いている気がする。
ジョンが素晴らしい音楽を創造したことは間違いないが、
ジョンにとってのヨーコの存在は
小さいものじゃないってことを改めて思い直している。
そんな当たり前のことを考えさせられながら、
れっきとした二人のコラボに聴き入っている。
昔はオノヨーコが好きではなかった。
それは彼女を理解していなかったということだし、
ひいてはジョンのこともよくわかっていなかったってことを意味する。
その意味で、今では、これを聴くたびに、
ジョンとヨーコを切り離さずに愛おしく聴く自分がいるのだ。

●The Road To Hell: Chris Rea

大好きでよく聴いていた『ON THE BEACH』は
海のサウンドなのに、なぜだか冬の海を彷彿とさせる。
クリス・レアは夜が似合うのだ。
そしてこの季節にはもってこいのムードがある。
アダルトコンテンポラリーなAORに酔いしれたい。
車を持ってないから、ドライブ用の選曲はしないけど
もしも、ドライブするなら、絶対に外せないシンガーだ。
渋い。声がたまらない渋い。
曲も渋い。とってもブルージーだ。
ギュンギュンなギターもサイコーだ。

●Someone To Love:Charles Brown

甘いブルースを聴かせてくれるチャールズ・ブラウン。
数多くのクリスマス・ソングを歌っているから、
というわけでもないけど、
なぜだか、年末感を感じさせるんだな。
このアルバムにはボニー・レイットが二曲参加しているが
ツアーの前座に起用し、ライブでデュエットをしたりして
彼女こそはチャールズをまた一線に引っ張り出してきた張本人でもある。
そんな良好な関係性がこのアルバムをさらに魅力的なものに仕上げている。

●ヘップ・キャッツ・ジャンプ・アゲイン:吾妻光良&The Swinging Boppers

まさに昭和ノリのブルースが楽しめる吾妻光良&The Swinging Boppers。
日本語の哀愁が
スイングしよう、
ジャンプしよう。
忙しく慌ただしい季節だからこそ、
いちいち落ち込んでなんかいられんわい。
こういうノリは大事なことだ。
独特のユーモアセンス、スケールのデカい楽曲。
メンバー全員がサラリーマンという
まさに労働者のソコヂカラのこもった
エネルギッシュなスイング感で年末を乗り切ろうじゃないか。

●Au kabaret de la dernière chance:Pierre Barouh

サラバからの素敵な贈り物。
それは想い届かず、苦い人生を生きるしかない人たちへの賛歌が込められた
「ラスト・チャンス・キャバレー」
そのタイトル曲はイブ・モンタンもお気に入りで、
レパートリーに加えているほど。
ブラジルのギタリストオスカー・カストロと組んで
1983年にパリ・レアルの古い教会で初演された音楽劇のスコア。
6年もの歳月をかけたピエール渾身の一枚。
人生の、酸い甘いがたくさん詰まった宝石のようなアルバム。
仕事や家事が済んだら、温かい飲み物を添えてじっと耳を傾けていたい。

●MIKADO FOREVER:MIKADO

グレゴリ-&パスカル、いま懐かしや、
彼らクレプスキュールのメンツだったミカドは、
キュートテクノというふれこみで、
われらが細野さんのもと、テイチクから最初で最後のアルバムを発表。
当たった当たらない、んなことはどうでもいい。
テクノとは元来愛らしい音楽なのだ、
ということを知らしめたミカドよ、永遠なれ。
こちらはベスト版、永久保存版としよう。

●Sentinela:Milton Nascimento

歩哨、つまりは警備というタイトルからして、
なにやらきな臭く全体的にはどうやら政治色が反映されているようだけれど、
音だけを聴いているとぐっと神秘的な宗教体験を味わうような
そんなピリチュアルな感じがある。
ウアクチがフィーチャ-された「Peixinhos do mar」や
メンデルス・ソーサとのスペイン語デュエット曲「Sueno con serpientes」
修道士によるコーラスとナナ・カイミのボーカルが醸す
荘厳なタイトル曲の「Sentinela」など、
とてもバラエティにとんだ質の高い音楽性に圧倒される。
ははん、スティングなんかはこういうところからも影響を受けているんだな
なんて思う次第。

●Live:Danny Hathaway

R&Bの、といわなくてもいわずと知れた名盤。
レコードでもソウルは十分伝わるライブ盤で元気がでます。
1971年発表の3rd、26才ですか・・・・
ちょっと哀しくなるけど、このエネルギーは半端じゃない。
1曲目「WHAT’S GOIN’ ON」からしてしびれます。
エレピモいい感じで・・「YOU’VE GOT A FRIEND」あたりにくると
会場の雰囲気がもろ鳥肌もので。
改めてこの偉大なるソウルに合掌。
こんなライブで年末を締めくくれたら最高だね。

●Avalon:Roxy Music

心地よさはいかにもナッソ-発の82年作。
これぞ大人のロック。
初めて聴いた時はまだまだ18の子供でござったな。
でも、ガキでも渋さぐらいわかるこのムード。
けばけばロクシーじゃなくても、こりゃぁセクシー、
そして音のエクスタシー。
最後は波の音にてフェイドアウトの粋な計らいにうっトリップ。
ダンディなフェリーさんを囲む、
必殺仕事人フィル&アンディでの本活動も、
これにて休業の巻。

●エピソード:星野源

歌をきいているだけで
日常を大切にしている感じが伝わってくるのがいい。
才能はもちろんだけれども、
こうした人間性がにじみだしている。
シンガーソングライターの音楽を聴いているだけで
こちらも幸せな気分になってくる。
それこそが星野源の良さではないだろうか?
どちらかというと、サケロックからの
初期のアルバムが好きなのだが
この2nd「エピソード」にはそうした生活の営みが
等身大で詰めこまれている。
それは愛すべきキャラクター性ゆえなのだ。

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