Ryuichi Sakamoto: CODA 2017 スティーブン・ノムラ・シブル音楽

『Ryuichi Sakamoto: CODA』をめぐって

坂本龍一の音楽は実に幅広い。 そのアルバムの中では、最も支持するのは 『B-2UNIT』当たりの空気感を 個人的には今尚敏感に想起しているのであるが、 その音のエッジたるや、到底病気を経た、 ある種覚悟を決めたリアルサカモトからは 程遠いような先鋭的な音で構成されている。 まさに教授たる名の全盛期の実験的、冒険的、野心的なサウンドに こちらも若き日の興奮が今も呼び起こされてはくる。

Richard Barbieri 1957-音楽

リチャード・バルビエリをめぐって

そんな未来を予言する、プロフィット5の達人を、 この地味なサウンドメイカーを、静かに讃えたいと思う。 それにしても、それぞれメンバーのミュージシャンとしての成長ぶりは ジャパン時代とは比べものにならない進化をとげているのだが ジャパン時代から、ほぼなにもかわることのない姿勢で地道に作り上げてきた このバルビエリの世界観こそは、ジャパンカラーを もっとも大事に継承しているような気がしてなんだか、安心するのである。

steve jansen 1959-音楽

スティーブ・ジャンセンをめぐって

デヴィッドの実弟として、ジャパン時代は 常に、一歩も二歩も引いた形で、縁の下の力持ちとしての域を出なかったが ドラマーとしての腕、ミュージシャンとしての進化には驚くべきものがあった。 もはや、ジャパン時代ですら、遠い昔のことのようになってしまったが、 最近では、エグジット・ノースという新たなバンド活動の場を見出し 独自の美学を追求し続けている。 あいかわらず、日本のミュージシャンたちとの交流も活発で 未だ絶大なるリスペクト、人気を誇る玄人好みのドラマーである。

david sylvianアート・デザイン・写真

デヴィッド・シルヴィアンをめぐって(後編)

さて、ジャパン時代には、あくまでもアート嗜好の強い 美意識にこだわりのあるミュージシャン といった域に過ぎなかったデヴィッドが ヴィジュアルアートを強く推し進め始めたのは、 解散後からだといっていい。 ソロファースト『Brilliant Trees』のリリースあたりで まず、一冊の写真集『Perspective』を発表する。 これは主に、身内の人間やレコーディング時に関係した 仲間内を撮影したポラロイドを合成して 一枚の絵に仕上げると言うもので、 言うまでもなくデヴィッド・ホックニーの亜流である。

David Sylvian 1958ー音楽

デヴィッド・シルヴィアンをめぐって(前編)

ポップミュージックの垣根を超えて 実験的、先鋭的なジャンルで孤高の活動を続ける デヴィッド・シルヴィアンと言う音楽家のことを書き始めると まずはその音楽家としての側面、 あるいは歌詞やコンセプトに置ける宗教的、思想家的側面 そしてアートヴィジュアル的側面、といった分野で それぞれ丸々一冊の膨大な本になってしまうほど 実に示唆に富んだアーティストであることに 今更ながら驚きを禁じ得ない。

JON HASSELL 1937〜音楽

ジョン・ハッセルを吹聴して

ユニークなトランペッター、個性的な、 という言い方がどこまで適切かどうかはさておき 明らかに、ジャズトランペッターのそれとは 異なるアプローチで奏でられるあの独特の音色、 一聴するだけで、それとわかってしまう音を奏でるのが 唯一無二のトランペッターとしての、ジョン・ハッセル個性であり その最新の動向には、絶えず関心を寄せてきた。

ヨコタススム 1961-2015音楽

ヨコタススムを再評価する

そんななか自分のなかではヨコタ・ススムの存在は 日に日に大きくなっている気がしている。 自ずと聴く頻度も増えている。 ドイツのレーベルHarthouseより 1993年『Frankfurt Tokyo Connection』をリリースし そこから始まる活動歴は圧巻だ。 何しろ23年にもわたるコンスタントな活動のなかで 40枚近くものリーダーアルバムを残し それぞれにコンセプトをもちながら まさにオリジナリティあふれる世界観を ひたすら孤高のうちに発表し続けた 稀有なアーティストであり、 ここ日本よりむしろ海外の方が 圧倒的に評価が高いのもうなづける気がするほどだ。