サブカルチャー

『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』1969 石井輝男サブカルチャー

石井輝男『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』をめぐって

キング・オブ・カルトこと、我らの石井輝男。 そこから輩出される名だたるカルトムービーの中でも 「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」と聞けば 泣く子も黙る、とりわけカルトキングな作品である。 我が愛すべきB級映画は、まずはこの作品から始めるとする。 これも確か、大井武蔵野館の名物プログラムだったと記憶する。 エログロ、狂気、ナンセンス、アングラ、タブー、シュール。 ありとあらゆる禁断世界から攻めたててくる。 日本映画史に燦然と輝くカルト映画の金字塔だ。 もっとも、全てがラストシーンに集約されてしまう映画であることは間違いない。

子連れ狼 三途の川の乳母車 三隅研次 1972サブカルチャー

三隅研次『子連れ狼 三途の川の乳母車』をめぐって

ちなみに原作からは「八門遁甲の陣」と「虎落笛」が 換骨奪胎されとりこまれこの一話を形成している。 漫画にはないダイナミズムと映画ならではの ロマンティズムが交差する『子連れ狼 三途の川の乳母車』。 色褪せぬ半世紀前のエンターテイメント、 とはいえ、とにもかくにも痺れる映画なのである。

Dries Van Noten 1958-サブカルチャー

『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』をめぐって

そうした意識に徹頭徹尾基づいた美を創造するファッションデザイナー、 ベルギー、アントウェルペン出身 ドリス・ヴァン・ノッテンのドキュメンタリー映画 『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』を観て なんと気高く、なんと美しいのだろうか、そう思った。 華やかな業界にありながらも、 地道で地味な佇まいで創造を重ねる深い精神性が宿っているのを感じ取る。 ファッションデザイナーだから、ではなく、その生き樣に共鳴するものがある。

前略おふくろ様サブカルチャー

『前略おふくろ様』をめぐって

人と人を結んでいる不確かなものを 確かにしていくというのが このドラマの実態だとするならば、 その正体こそが紛れもなくそこにあるのだと 実感するからであり、 『前略おふくろ様』は、 時代と俳優とスタッフによって生み出された 今絶滅危惧種のようなドラマであることはまちがいなく、 その昔、こんないいドラマがあったことを 僕は嬉しく思うし、 自分にも、また自分のおふくろさんにも 輝くような青春があったということを 今一度思い返すのであります。

白い巨塔 1978サブカルチャー

『白い巨塔』をめぐって

正直なところ、田宮二郎を俳優として どこまで評価できるかまでは自信はないのだが この『白い巨塔』で見せた、異様な喜怒哀楽やテンションの激しい上下動ぶりをみても、 演技を超えたなにものかに憑かれていたことは間違いない。 しかし、今となっては、文字通り、遺作となったこのドラマでは、 当時、本人がかかえていた深い心の闇が 幸か不幸か、決定的にその役柄にまで影響を与え、 深みを与えていた事実は永遠に語り継がれてゆくものだろう。