我が家のMOON SONGプレイリスト

十五夜

いとしのムーン 憑き物語

フルムーン。
先日、夜風を浴びながら月の美しさに見惚れていた十五夜の日。
心ここに在らずと、遠い世界のかなたからふりそそぐ
言葉なき言葉にひとり耳を傾けていた。

月のことを、簡単に語るよすがをいまだ知らないが、
とにもかくにも、中秋の名月とやらは
風流で、分け隔てなく
日本人の魂に、そっとよりそってくれるだろう。

とはいえ、月は狂気を孕む。
月は、人智及ばぬ叡智を宿し、
この人間世界を眺めている。

はたして、その極意はなんなのか?
知りたいと思うほどに、言葉は返ってはこない。
そこで、詩人の声に耳を傾けてみよう。
ボードレール。
ボードレールの憂鬱に思いを忍ばせながら、
それでも、来るべきロマンと明日を夢見よう。

月の悲しみ シャルル・ボードレール

今宵、ひたすらおぼろげに夢見るお月様は
クッションの上の一人の美女のごとく、
眠りに就く前に、ぼんやり
その胸の曲線をやさしげになぞってみせる。

なだらかな雪崩の艶やかなる背上には、
死に至らんと、長き恍惚たる身をゆだね
花咲くように蒼き空へと立ち上る
かくも白き幻影にその瞳さまよう

時おり、この地球上に、無為の物憂さゆえの、
彼女から流れおちる秘かな涙に
敬虔なる詩人は眠りにあらがって

その手のくぼみにこの青ざめた涙をため
オパールの断片ごとき虹彩の輝きではね返し、
太陽の眼差しから遠くへだった己が心の中に
それを忍ばせたもう。

今宵限りのMOON SONGプレイリスト

PINK MOON:Nick drake

ニック・ドレイクの名曲「PINK MOON」は、生前鬱に苦しみながら、まともな評価を受けれなかったニックに反して、まるで軽やかな月のマジックのように、気高くそして恍惚とまぶしい輝きをはなっている曲だ。姉の恋人マイケル・トレヴィシックによる秀逸なジャケットワークが、この幻の名盤に花を添えている。

Yellow Moon:The Neville Brothers

ニューオリンズの熱くパワフルなソウル・ファンクバンドネヴィル・ブラザースに、イーノ&ラノワのケミカルな魔法処理が施された名盤『Yellow Moon』のタイトルチューン。アーロンの天使の歌声が艶やかに響き渡る。

Grapefruit Moon:Tom waits

秋の夜の酒場はトムなしで語れない。トム・ウェイツ24歳の時のファーストアルバム「CLOSING TIME」に収録された「Grapefruit Moon 」。グレープフルーツみたいな月といわれると、見た目はその通り、なのだけれど、よくよく考えればグレープフルーツは酸っぱくて、それを人生に重ねて歌っているんだね。

Silver Moon:David Sylvian

ロバート・フリップ、ビル・ネルソンとの共演で深みを増した英国ロマンとアースシンボルが散りばめられた名盤『GONE TO EARTH』から。シルヴィアンのロマンティックな側面がフィーチャーされたシングル「Silver Moon」。ボーカルサイドのラストを飾るこの秋にふさわしい一曲。

Casablanca Moon:Slapp Happy

思わず口ずさみたくなる曲は、米、英、独三ヶ国混合のスラップ・ハッピーの名曲「Casablanca Moon」。ファウストのサポートで録音した2nd『Casablanca Moon』から。ドイツ語訛りのダグマー・クラウゼの英語に親しみがわく。メルヘンチックで、かつアバンギャルドポップを聞かせてくれる。

Blue MoonElvis Presley

ロレンツ・ハート、リチャード・ロジャースによる超スタンダードナンバー「BLUE MOON」は、いろんな人が歌っていて、それぞれに味があっていいんだけど、ちょうどジャームッシュの『ミステリー・トレイン』で流れていたの聴いて、いいなと思ったものだからこれにした。ビリー・ホリデーが歌うバージョンも好きだけどね。

Moonchild (Including “The Dream” And “The Illusion”):King Crimson

このナンバーをただ美しいと表現していいものだろうか、という話は置いておいて、やっぱり名曲であることは変わりがないし、アンビエント要素もあって気持ちもいい。静寂に覗く狂気を体感しながら、月を眺めていると、まるで、こ月と通信しているような気分になってくるから不思議。そこでふと思ったんだけれども、この曲はサン・テクジュペリの『星の王子さま』の世界観に通じるものがあるなと。この曲をエンドレスでかけるか、もしくは『クリムゾン・キングの宮殿』をBGMに『星の王子さま』を子供に読み聞かせる、なんて親がいるものだろうか?

The Moon Is Mine:Fairground Attraction

こムヅカシイことはおいておきましょうか。フェアーグラウンド・アトラクションのこの「The Moon Is Mine」を聞けばごきげんでウキウキさせられる。
同アルバムには「MOON ON THE RAIN」という曲もあるけど、とりあえず、ヴィラフォンが効果的に入っているこっちをセレクト。当時これを聴いていた日々が懐かしく蘇ってきて楽しいエバーグリーンな一曲だな。

Walking On The Moon:The Police

ポリス2nd『白いレガッタ』より。中学の時、ベースを始めてまもないころ。この曲をよく耳コピしていたっけ。それぐらいベースラインがくっきり、聞き取りやすく、とてもシンプルな構成のレゲエ調の曲なんだけど、3ピースで醸しだすスペーシーな雰囲気、そして無駄のない演奏力。さすがはポリスって感じだね。今聞くと、スチュワート・コープランドのリズムもすごいね。

Moondance:Van Morrison

バンドゼム解散後に、ソロで発表した3rdアルバム、初期ヴァン・モリソンの傑作『MOON DANCE』からのタイトルチューン。 当時のニューヨークのスタジオミュージシャンとアトランティック系のソウルを牛耳るミュージシャンたちをバックにつけ、ブルーアイドソウルの第一人者としての貫禄を見せつけた。ロマンティックなムーンダンスにうってつけの夜に、この曲で踊り明かそう。

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