入道、夏のニコッ展

煙突の雲
煙突の雲

夏といえば青い空、白い雲。
雲ひとつない空もいいですが、雲はちょっとしたアクセント。
綿菓子のような入道雲の、あのはっきりとしたマチエール感が大好きです。
まるで油絵のごとき骨太なタッチ、
空がキャンバスとでもいわんばかりにのびのびと素晴らしいものです。
暑いのは苦手ですが、あの屈託のなさ、おまけに急ぎ足で、
なんだかわんぱくな感じにとても癒される気がします。
というか、みていて気持ちがいいくらいあの沸き立つ感じこそが夏。
同時に、ザーザーとシャワーを降らせる困ったちゃんでもある入道くん、
夕立ち後虹を伴ったさわやかさなど、もはやことばにならぬほどファンタスティック!

夏の扉を開くプレイリスト

夏なんです :はっぴいえんど- from『風街ろまん』

やっぱり、夏はこの曲を聴かないことに始まらない。細野さんの歌を聴いているだけで、なんだか安心感がある。どんなに暑かろうが、乗り切れそうだと思えてくるから不思議。個人的な思い出もたくさんあるけれど、そんなことよりも、この曲がMOBY GRAPEの「HE」のイントロに似ているのを知って、ちょっと嬉しくなった。いかなる天才のひらめきも、どこかで風のようにぐるぐるまわっていて、その波動をうまくキャッチするかどうかで決まるんだなと。もちろん、それをふくめての天才なんだな。日本語のロックとしても、この曲は完璧な情緒感にあふれている。ああ、あの日のぼくはいかしてたなあ、なんてふと思い出すことがあるんだよ。

The Word Girl :Scritti Politti- from『Cupid and psyche 85』

イギリスのラフトレードから、デビューしたScritti Politti。
それがこの『Cupid and psyche 85』では一転して、デジタルな硬いパキパキサウンドで新たな新境地を開いた名盤だ。そこから先行シングルがこれだった。もともとホワイトソウル志向だったとはいえ、この変わり身にちょっと驚いたが、グリーン・ガートサイドの甘い声は不変で安心した。

Cruisin:Smokey Robinson – from『Where There’s Smoke…』

モータウンの大御所、かつ重役でもあったスモーキー・ロビンソンは、名曲をたくさん書いてきたが、他人への曲提供を惜しみなくやった人だった。70年代に入ってソロになってもそれは続いたが、肝心の本人はしばらくスランプに陥った。そこで70年代後半、ミラクルズのギタリスト、マーヴ・タープリンとの共作ナンバーで、それまでの不振を振り払うかのようなヒットナンバーになったのが「Cruisin」。甘くメロウなスモーキー節がまだまだ健在であることを証明したのだった。

Monsoon – Tomorrow Never Knows:- from『Third Eye』

いわずもがな、ビートルズの名曲を、インド系英国人シーラ・チャンドラが歌っている。サイケデリックな原曲をまろやかにつつんだアレンジが心地よい。原曲を聴く限り、清涼感など皆無な曲だけど、このバージョンは、洗練されたチルアウト風エスノミュージックで、一抹の清涼感さえ感じられる。

L’Exotisme:MIKADO- from『MIKADO』

パスカルとグレゴリー2人組よるフレンチテクノポップということで、当時一世風靡したミカドのナンバー「L’Exotisme」。チープだけど、モダンでキュートな彼らの良さが堪能できるテクノエキゾチカというところ。

One Note Samba / Surfboard :Stereolab · Herbie Mann- from『The Red Hot Organisation』

エイズ撲滅を銘打ったチャリティー・コンピ “RED HOT”。アントニオ・カルロス・ジョビン作品をフィーチャーしたアルバムのなかから、「One Note Samba」〜「Surfboard」のメドレーを、ハービー・マンのフルートをフィーチャーしてやっているステレオラブのバージョンは、なんともモダンでポップなご機嫌なアレンジをきかせてくれる。

Annie, I’m Not Your Daddy :Kid Creole And The Coconuts – from『TROPICAL GANGSTERS』

ズートスーツに身を包み、まさにトロピカルダンディを地で行く、キッド・クレオールことオーガスト・ダーネル率いるココナッツは、メンバー全員が混血というグループで、80年代はじめに『TROPICAL GANGSTERS』でデビューし、白人と黒人の混血が生みおとしたムラートミュージックとして、話題をかっさらったものだった。
思わず身体をうごかしたくなるご機嫌なラテンダンスナンバー「Annie, I’m Not Your Daddy」にはいまでも十分に通用する時代を先取りしたセンスを感じるな。

BEAUTIFUL BOY John Lennon  – from『Double Fantasy』

波の音、スティールパンの響きが、輝かしく懐かしい夏の一日を思いおこさせる。ジョン・レノンというミュージシャンが、ひとりの人間として、わが息子ショーンに向けて、実に素直なまでの父親としての思いを曲に託した曲だが、これは単なる親バカソング、などとはいいたくはない。いみじくも、凶弾の前に倒れた本人の生前、もっとも大事にしていたものへの思いを通しての真の祈りが込められているのだ。

AVALON:ROXY MUSIC – from『AVALON

ロキシー・ミュージックラストアルバムにして、最高傑作の誉れ高き名盤『AVALON』から、タイトルナンバー。優雅で、アダルトで、都会的。そして暑さを忘れるほどに、最高にクールなナンバー。そんなムードを醸しだせるのは、ブライアン・フェリーのダンディズムのなせる技。

Cool In The Pool:Holger Czukay – from『MOVIES』

CANのリーダー、ホルガー・シューカイのソロ『MOVIES』といえば、なんといっても「ペルシアン・ラブ」が有名だけど、この「Cool In The Pool」は、夏の到来を告げるナンバーとして我が家に定着しております。

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