シュルレアリスム

オデュッセウスの帰還 1968 ジュルジュ・デ・キリコアート・デザイン・写真

『デ・キリコ展(Metaphysical Journey)』のあとに

ジュルジュ・デ・キリコという画家の不思議な世界は その奇妙な遠近感と、唐突なモティーフの登場などから、 いわゆる形而上学的絵画などと言われているが シュルレアリストをはじめとした前衛画家たちの作風の中でも とりわけ異質な情緒を掻き立てる画家だと、長年理解してきた。 伝統と革新が同居するという、なにやら、迷宮に足を踏み入れる怖さも手伝って キリコの絵は、あのマグリットの明らかな挑発的絵画とは趣きがちがう、 みるものに、沈黙を余儀なくさせるだけの威風を堂々漂わせている。

Wilfredo Lamアート・デザイン・写真

ヴィフレド・ラムという画家

その名もヴィフレド・オスカー・ドゥ・ラ・コンセプシィオン・ラム・イ・カスチーヤ。 キューバが共和国宣言をした年に生まれたのが このヴィフレド・ラムという画家の始まりである。 母親がコンゴ人とスペイン人との混血、父親が中国人という混血児であった。 (ちなみに、Wilfredo(ヴィルフレド)という名前だったらしく、 行政上のミスで「l」の一文字欠けた、「ヴィフレド」という名前になったらしい)

「イメージの裏切り」ルネ・マグリットアート・デザイン・写真

ルネ・マグリットという画家

厄介なのは、そのイメージに対し、 全く予期せぬタイトルがつけられて いよいよ我々の理解は言葉では説明がつかず 無防備にさらされてしまい、身動きが取れなくなってゆくことである。 まさにマグリットが繰り返し描いた石化風景に 身を以て埋没してしまうのである。 マグリットはそうしたものの総体をポエジーと呼ぶ。 なんと便利な用語だろうか。 されど、これほど端的なものものなく、 まさにイメージの詩学が展開されるのだ。

Perspective of Nudes 1961 Bill Brandtアート・デザイン・写真

ビル・ブラントをめぐって

ビル・ブラントの写真を前にするとき 人は、その隠された秘密を紐解きたい欲望が ふつふつと込み上げてくるかもしれない。 けれども、写真をいくら眺めていても ビル・ブラントの文献に目を通していても 秘密があからさまに暴露される訳でもない。 『パースペクテブ・オブ・ヌード』における 各肉体へのクローズアップは、 そうした秘密への鍵として、現前に投げ出されるだけだ。