Alberto Giacomettiアート・デザイン・写真

アルベルト・ジャコメッティという彫刻家

もっとも、ジャコメッティといえば、 あの病的なまでの細身の像を作り続けた彫刻家としてのイメージから、 ややもすれば、気難しく、命をすり減らすかのように、 探究心あふれる孤高の芸術家として生きたような錯覚を、どこかで持っていた。 確かに、完成することよりも、完成しようとする意志に貫かれて、 創造と破壊を繰り返した“完全主義”という一面こそ持ち合わせていたが、 生涯において、他人を寄せ付けず、 孤独なうちに野心ついえたようなタイプの芸術家とは、 根本的に違っていたのである。

Henri Matisseアート・デザイン・写真

アンリ・マティスという画家

野獣派ときくと、なんだか激しいタッチのものを想像してしまいがちだが マティスの絵は、むしろ反対に 華やかな色彩と遊び心に彩られているから、 ある意味野獣という響きは似つかわしくない。 むしろ、アクロバティックであり、サーカス的、 カーニバルのような空気に覆われているように思えてくるという意味で まさに“生命の園”であり、 自分ならそれをまとめて“カニバティック” とでも呼びたいところだが、いかがだろうか?

ラウル・デュフィアート・デザイン・写真

ラウル・デュフィという画家

20世紀初頭、フランス近代絵画史を代表する一人である画家ラウル・デュフィ。 その名前を聞いて、あなたはどんな作品を頭に思い浮かべるだろうか? モネやルノワール、セザンヌといった印象派から影響を受け、 フォーヴィズムの担い手として一時代を築き活躍した画家は、 マティスにその薫陶をえたというべく 鮮やかな色彩の「ニースの窓辺」をはじめとして そのタッチ、現代のイラストレーションにも 多大な影響を及ぼしているであろうこの画風に、 今見ても、新鮮で実に生き生きとした精神の躍動感を感じるだろう。

PAUL DELVAUXアート・デザイン・写真

ポール・デルヴォーという画家

ベルギーの画家といえば、 真っ先にマグリットの絵を浮かべてしまうところだが、 ここにもう一人、ポール・デルヴォーの名を忘れるわけにはいかない。 マグリットがまさにシュルレアリスムの画家と言って差し支えのない、 形而上学的で、無意識下の心理をくすぐる絵だったのに対し、 デルヴォーの場合は、シュルレアリスムの画家と呼ぶに、 どこか躊躇してしまう何かがある。 上品で優美な写実的風景が横たわっており、 シュルレアリスティックな夢の領域だけではどうも収まりが悪いのだ。

「イメージの裏切り」ルネ・マグリットアート・デザイン・写真

ルネ・マグリットという画家

厄介なのは、そのイメージに対し、 全く予期せぬタイトルがつけられて いよいよ我々の理解は言葉では説明がつかず 無防備にさらされてしまい、身動きが取れなくなってゆくことである。 まさにマグリットが繰り返し描いた石化風景に 身を以て埋没してしまうのである。 マグリットはそうしたものの総体をポエジーと呼ぶ。 なんと便利な用語だろうか。 されど、これほど端的なものものなく、 まさにイメージの詩学が展開されるのだ。

タエコの朝食 池田満寿夫アート・デザイン・写真

池田満寿夫という画家

池田満寿夫という人は実に奔放というか 無邪気というか、様々なアーティストからの影響を素直に受け、 どこまでも確信犯的にそのスタイルを取り込んできた。 もっとも影響をうけたのはピカソであろう。 それは初期の版画作品にも如実に表れているが そのほか、ヴォルスやミロ、デクーニングやマチス カンディンスキーにウォーホールといった 豊かな線や色彩の魔術師たちの影響を次々にわがものにしながら ひたすら貪欲に世界を開拓していった人である。