音楽

誘拐報道 1982 伊藤俊也映画・俳優

伊藤俊也『誘拐報道』をめぐって 

この作品、キャスティングが素晴らしいのだ。 まず、ショーケンと小柳ルミ子この組み合わせがフレッシュに活きたと思う。 いずれも伊藤たっての希望だったという。 ショーケンは、この映画のために10キロも減量して臨み、 まるでドイツ表現主義的な形相で、鬼気迫る誘拐犯を熱演すれば、 小柳ルミ子はここで映画初出演とはいえ、 大胆な汚れ役を厭わず、それまでのイメージを覆すが如く 誘拐犯の妻を、文字通り身を投げうつような覚悟で演じ切った。 以後、彼女のキャリアを前に大きな爪痕を残したといっていい

バージンブルース 1974 藤田敏八映画・俳優

藤田敏八『バージンブルース 』をめぐって

この『バージンブルース』は こうしたバージンか非バージンかわからないような年頃の、 ちょっと素行のよろしくない女の子たちを主人公に据えた さすらいのロードムービーかと思いきや、 実は、これはたわいもない中年男のロマン、 いってみれば、妄想によって男の哀愁を掻き立てる そんな作品になっているのはざっと紹介した通り。 それを演じる中年男、平田自身が いたって「バージン脳」のダメ男であり、 困ったちゃんと結びついてしまうところが 同じ男としてはなんとも微笑ましいのである。

Les plus belles années d'une vie映画・俳優

クロード・ルルーシュ「男と女 人生最良の日々」をめぐって

クロード・ルルーシュの代表作にて名作『男と女』の その続編の続編いわば53年(33年)後の二人の再会ドラマである 『男と女 人生最良の日々』について書いてみよう。 いやあ、言葉にならないなあ、と思う。 余韻が広がり、それにまたため息が出るほどだ。 これを幸福の現象と言わずしてなんと言うべきか。 演技をこえて、二人の人生が映画空間で重ね合わさった 晩年の男と女の再会劇の感動は簡単に言葉では言い尽くせないのだ。

Un Homme Et Une Femme」1966 Claude Lelouch映画・俳優

クロード・ルルーシュ『男と女』について

男と女の恋模様、というと、そのタイトルからも この映画に触れぬわけにはいきませんね。 あの大人の恋愛映画の決定版、といえば クロード・ルルーシュの『男と女』について書かぬわけにはいきません。 ピエール・バルー&ニコラ・クロワジーユのあの歌 ダバダバダ、ダバダバダで有名なあれ。 改めて言うまでもない、あの映画のことです。

8 1/2 1963 フェデリコ・フェリーニ映画・俳優

フェデリコ・フェリーニ『8½』をめぐって

よって、サーカス、そして祝祭的な人間讃歌がそこにあるのだとして フェリーニ映画を代表する作品、という認識は間違いではない。 人、状況、そして自らの創造性(芸術性)、 こうした映画作りの現実を前に、さんざん困惑し、もがき、苦悩し、 にっちもさっちもいかない袋小路な状況下にまでおいやられながら 結局は、ラストシーンで、出演者が手をつなぎ、 「人生は祭りだ、共に生きよう」と結ぶフェリーニ的映画の帰結の流れが 心の底からフェリーニ的映画人生のイメージに寄り添い、 われわれをいかにも陶酔へと誘い、 これみよがしに包み込んでくれる作品には、感動の言葉こそが似つかわしい。

COFFEE AND CIGARETTES 2003 JIM JARMUSH映画・俳優

ジム・ジャームッシュ『コーヒー&シガレッツ』をめぐって

ここでとりあげる映画『コーヒー&シガレッツ』などは最たるもので 文字通り、登場人物がタバコを吸ってコーヒー(紅茶)を飲みながら、 目の前にいる人物たちと、とりとめのない会話をするだけの映画だ。 退屈さと面白さ、その背中合わせの空気が 手短に11話収められたショートショートのオムニバス作品で、 しかも、十年かけて撮りだめられた作品集、というわけだ。

Manfred Eichersアート・デザイン・写真

耳で考え、目で理解する老舗レーベルの底知れぬ魅力(前編)

ブルーノートがモダンジャス、あるいは 良きアメリカ文化を体現しているとすれば マンフレッド・アイヒャーが設立したECMレーベルというのは 何ものにも似ない格式の高いヨーロピアンテーストであり 洗練された美意識に通じた音をを配信するイメージがある。 とりわけNEWシリーズなどはクラッシックや現代音楽を意識した ポストジャズのカラーを前面に押し出している。