ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.47 新春シネマチャンプルーサイドB

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.47 新春シネマチャンプルーサイドB
ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.47 新春シネマチャンプルーサイドB

この場を借りて名画座を忍ぶ

昨年末、新春12日をもって
ミニシアターのシネマカリテが閉館とのニュースが飛び込んできて、
なんだか寂しい気持ちがしていたところである。
街の名画座がどんどん消えて、
ますます、自宅でストリーミング鑑賞が増えてしまうんだろうな。
それはそれでいいんだが、やはり、名画座が消滅するというニュースは
一映画ファンとして心穏やかではない。
もはや、だれも驚かないレベルで、寂しい気分であることはいっておく。

武蔵野興業が運営するシネマカリテは、
100年続く老舗映画会社であり、古くは、大井武蔵野館など
そこに行かなきゃ絶対に拝めない作品の上映で
コアなファンによって支えられていたのだが、
時代は変わり、どんどんと廃業の道へと進んでいるのは
返す返すも残念である。
市井の一映画ファンがどうすることもできないが、
やはり、映画は映画館で観たいという気持ちは偽らざる思いである。
だから、せめて、そう思わせるような作品をここに取り上げて、
映画、ひいては文化の衰退に、なんとか歯止めを
などと、綺麗事をいうつもりはないが、
シネマカリテの閉館を惜しむ人情のような思いを
どこかに忍ばせておきたいのである。

ここに掲げるプログラムはぼくがかつて、
いろんな名画座に通い見てきた映画たちである。
いつどこで見たかまではよく覚えていないものあるが
名画座固有の複数プログラムで見てきた珠玉の映画たちである。
そのほとんどがシネマカリテ同様、廃業の道をたどり、
それでも個人の記憶の片隅にどうにか張り付いている。
幸い、ストリーミングでも鑑賞することができるのは
不幸中の幸いといっておこう。

あの子のジンタ · CHARAN-PO-RANTAN

「よってらっしゃい、みてらっしゃい」威勢のいい歌が聞こえてくる。ももとこ春の「歌とアコーディオンの姉妹ユニット」チャラン・ポ・ランタンは、昭和レトロと異界幻想が、路上芸とキャバレーを経由して現代に迷い込んだムードをかもす色物ユニットだと思われがちだが、といって、単なる懐古趣味に陥らず、現代の感覚でアップデートしているところが彼女たちのエラさであり、そこが好きなところでもある。いうなれば、「現代を生きるために、あえて道化を引き受けた姉妹による、人生キャバレー音楽」とでもいおうか。廃りゆくものをただ感情に任せて嘆くのではなく、現実を受け入れ、飲み込んで、新たなものを提示してゆく姿勢。われわれが問われている問題はそこだ。ただ、そんな彼女たちのポジティブなイズムを借りる前に、少しだけ、昭和を回想しながら、当時あった正月プログラム風の出し物を掲げてみたい。

特集:あの頃、名画座にて

  1. 「国宝」じゃないとは言わせない・・・ 溝口健二『残菊物語』をめぐって
  2. 圧巻の悪漢道、第市幕の怪演と因果のなれそめ・・・森一生不知火検校』をめぐって
  3. 社会派ドラマを装う、欲望と意地のコテコテのせめぎあい・・・吉村公三郎『女の勲章』をめぐって
  4. 団結美学のペーソスを浪花語りで・・・長谷川安人『集団奉行所破り』をめぐって
  5. B級美学の豪華絢爛エンターテイメントを彫る・・・鈴木清順『刺青一代』をめぐって
  6. じゃかまし〜ツ 男根役者ここに参上!・・・三隅研次『御用牙』をめぐって
  7. ロマンの敗北、遠い日の青春に捧ぐ・・・中島貞夫『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』をめぐって
  8. 嬢とヒモを情で結ぶ、人生ひきこもごも・・・森崎東『喜劇 特出しヒモ天国』をめぐって
  9. ハレンチレンジの幅広さを見よ・・・石井輝男『異常性愛記録 ハレンチ』をめぐって
  10. 小津とひよこと風に異化されたポルノ・・・小沼勝『OL官能日記 あァ!私の中で』をめぐって
  11. ジャラ男デビューも悪かない・・・和田誠『麻雀放浪記』をめぐって
  12. 自意識という名の重力に対する、静かな降参宣言・・・大九明子『勝手にふるえてろ』をめぐって