小沼勝『生贄夫人』をめぐって
それにしても、谷ナオミの肉体は ここでも、まさに芸術の域に達するほどに、官能性にあふれており、 『花と蛇』に輪をかけて、そのあらわな姿は眩しいほどである。 苦悶に喘ぐ表情とは裏腹に、快楽に波打つふくよかで淫らな肢体。 脱糞シーンですら、芸術にしてしまうのだ。
それにしても、谷ナオミの肉体は ここでも、まさに芸術の域に達するほどに、官能性にあふれており、 『花と蛇』に輪をかけて、そのあらわな姿は眩しいほどである。 苦悶に喘ぐ表情とは裏腹に、快楽に波打つふくよかで淫らな肢体。 脱糞シーンですら、芸術にしてしまうのだ。
その原点は、「ポルノ度」の極めて高い小沼勝の手によって 換骨奪胎された、この『花と蛇』によって始まったと言えようか。 日活ロマンポルノ界のマリリン・モンローと言わしめた 谷ナオミとのコンビによって 薄暗い渦中にも、堂々陽の目を見た重要な作品である。 この『花と蛇』を見て、谷ナオミに胸をときめかせたという、 今や中年以降であるはずの紳士たちも多かろうと思う。 あるいは、その筋の道に引き込まれたマニアもまた 少なからずいるのであろう。
そんな小難しいことはさておき、日活ロマンポルノは わずか70分程度の尺の中に、一定のお色気を含むと言う規定以外は 実に自由で、奔放な映画作りの情熱に突き動かされた、 真の映画狂たちが集う実験の場でもあったのである。 その熱気は男と女の睦みごと以上に熱く、狂わしいものだ。