川島雄三『しとやかな獣』をめぐって
これを正月の興業映画として封切った大映も また、“しとやかな獣”の罠にはまったとみえ 案の定こけてしまうのだから、 なにからなにまでブラックコメディ尽くしの作品が 『しとやかな獣』なのである。 日本映画が、コメディ下手だとどの口がいうのか、 兎にも角にも傑作である。
これを正月の興業映画として封切った大映も また、“しとやかな獣”の罠にはまったとみえ 案の定こけてしまうのだから、 なにからなにまでブラックコメディ尽くしの作品が 『しとやかな獣』なのである。 日本映画が、コメディ下手だとどの口がいうのか、 兎にも角にも傑作である。
日本では長らく未公開作品だった ジャック・ドゥミによる『天使の入江』を観た。 噂に違わず幻の傑作である。 オープニングやタイトルからは、どんな話なのか想像がつきにくい。 地中海に面する「天使の入江」と名付けられた海岸通り沿い、 ニースの通称「英国人の散歩道」を優雅に歩いているのは ブロンドヘアーのジャンヌ・モロー。 アイリスインし正面から捉え、 そこからドゥミ&ヴァルダ夫妻の作品で馴染みの ジャン・ラビエによる一気の高速移動撮影に ミシェル・ルグランのドラマチックなピアノ曲がかぶさってくる。 うーん、実に素敵なオープニングだ。