田中登『㊙︎女郎責め地獄』をめぐって
趣ある本物の浄瑠璃を伴って、 のっけからなんとも風情漂う石畳の上に書かれたクレジットがいい。 真っ赤な字のタイトルは『㊙︎女郎責め地獄』 カメラが真俯瞰で追いながらタイトルバックが次第に赤く染まってゆく。 そこからいよいよ岡場所に入ってゆくあたり、 じんわり痺れる傑作の予感漂うオープニングである。
趣ある本物の浄瑠璃を伴って、 のっけからなんとも風情漂う石畳の上に書かれたクレジットがいい。 真っ赤な字のタイトルは『㊙︎女郎責め地獄』 カメラが真俯瞰で追いながらタイトルバックが次第に赤く染まってゆく。 そこからいよいよ岡場所に入ってゆくあたり、 じんわり痺れる傑作の予感漂うオープニングである。
ポルノだと思って見る人、みようとする人には 全くもって退屈極まりないに映画に違いない。 何も起きやしない。 いや、虚無のようなものが、無防備に突きつけられる。 それもそのはずで、70年代の空気を溶かし込んだ わけのわからない焦燥感に突き動かされる主人公たちの吐息が 官能よりも抒情的に網膜を突き抜ける。 そうしたフィルムのざらつきが今でも色褪せず この網膜越しに感じ取れるからだ。