ジャック・ドゥミ

フランソワーズ・ドルレアック映画・俳優

フランソワーズ・ドルレアック小論法

伝説と呼ばれしものは、永遠に燃え上がるために、この世を早く去る。 そんな格言めいたことばを、ふと呟きたくなるひとりの女優がいる。 彼女の名前はフランソワーズ・ドルレアック。 いうまでもなく、妹は歳は一つ違い、 フランス映画界の大女優カトリーヌ・ドヌーブ、その姉として名が刻まれている。 世間広しといえ、ぼくにとって、美しい姉妹といえば 映画史のなかで、この二人以上に比較しうる存在がいない。 さらにいえば、ぼくは圧倒的なまでに姉ドルレアック派なのである。

Anouk Aimée 1932-2024映画・俳優

アヌーク・エーメ小論法

アヌーク・エーメは実に恋多き女だった。 4度の結婚、離婚を繰り返している。 そのなかには、『男と女』で共演をきっかけに結ばれた サラヴァを立ち上げたSSWピエール・バルーも含まれる。 蜜月期、わずか3年の月日だが、遊吟詩人的なバルーとの恋もまた 詩的インスピレーションの賜物だったにちがいない。 ピエールはのちに「彼女は嫉妬深いところがあってね」、 そんなことをいっていて、一気に現実に引き戻された記憶があるが、 それでも、スクリーンを通して見る彼女が魅力的だったことに なんら変わりはなく、その女心に寄り添いたくなる男たちにとっては そのギャップこそが彼女へと恋を走らせてしまう要因なのかもしれないと思った。 多分に漏れず、ぼくもまた、そんな女優にときめいた。

ローラ 1961 ジャック・ドゥミ映画・俳優

ジャック・ドゥミ『ローラ』をめぐって

石畳、路面電車、遊園地、霧にけぶる港、そして米兵水夫。 フランスの西、港町ナントの灰色の空の下、 どこからともなく潮騒の匂いを含んだ風が 石畳をなでるように吹き抜ける。 故郷を舞台にした、ジャック・ドゥミの処女作『ローラ』は、 そんな静かな風景に、アイリスインで幕を開けアイリスアウトで終わる。 これにわざわざヌーベルバーグの作品などと焚き付けたくはない、 そんな昔気質の哀愁がある。 人生の喧噪をひとまず忘れ、少し離れた場所、人々の生活のすぐ隣に、 確かに存在する夢と記憶のかけらが顔をのぞかせる瞬間の愛おしさ。 そこにドゥミは、少年のように、カメラというレンズ越しに、 ぼくらの見るべき“行間”をそっと提示してくれるのだ。

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.45 空想巡回映画館 ただいま上映中映画・俳優

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.45 空想巡回映画館 ただいま上映中

やはり、秋はいい。いいのだ、秋。 そんなことを静かに噛み締めながらも、 やはり、モノには道理、そして移ろいがあり、 それを感じることは幸せなことであり、 それを感じ取れる日本という国が年々愛おしくなっている。 幸い、ようやく、不穏な空気、気配が開けそうな世の夜明けを横目に 希望のわく、そんな思いと、少し憂いを滲ませるという相反する 複雑な思いもかくさずに、サウダージな詩的なひとときを 言葉に託したいと思う。

Le Parapluies de Cherbourg Jaques Demi 1963映画・俳優

ジャック・ドゥミ『シェルブールの雨傘』をめぐって

そんな自慢にもならない話をしたのは カトリーヌ・ドゥヌーブの話をしたかったからなんだけれど、 で、ドゥヌーブの出世作は 当然、ポランスキでもブニュエルなんかじゃなくって、 やっぱりドゥミの『シェルブールの雨傘』ってことになる。 ちょうどその女の人も、 あのころの初々しいドゥヌーブ嬢の雰囲気に 近かったことだけを覚えている。

天使の入江 1963  ジャック・ドゥミ映画・俳優

ジャンヌ・モロースタイル『天使の入江』の場合

日本では長らく未公開作品だった ジャック・ドゥミによる『天使の入江』を観た。 噂に違わず幻の傑作である。 オープニングやタイトルからは、どんな話なのか想像がつきにくい。 地中海に面する「天使の入江」と名付けられた海岸通り沿い、 ニースの通称「英国人の散歩道」を優雅に歩いているのは ブロンドヘアーのジャンヌ・モロー。 アイリスインし正面から捉え、 そこからドゥミ&ヴァルダ夫妻の作品で馴染みの ジャン・ラビエによる一気の高速移動撮影に ミシェル・ルグランのドラマチックなピアノ曲がかぶさってくる。 うーん、実に素敵なオープニングだ。