音楽

ギルバート・グレイプ 1993 ラッセ・ハルストレム映画・俳優

ラッセ・ハルストレム『ギルバート・グレイプ』をめぐって

家族の数だけ“家”の物語がある。 誰もが抱える、身近で大切な共同体である家族が 愛ゆえに人を見守り、互いに支え合うという神話も どこか、希薄なまでの薄っぺらさばかり露呈されがちな現代社会において、 ラッセ・ハルストレムがハリウッドで手がけた最初の作品 『ギルバート・グレイプ(原題:What's eating Gilbert Grape)』には その綾を縫いながらも、家族の絆、つながりが描き出されている。 そこには痛みを通して、前に進まずにはいかない物語が ある種の通過儀礼として描き出されている。

ツィゴイネルワイゼン 1980 鈴木清順映画・俳優

鈴木清順『ツィゴイネルワイゼン』をめぐって

今日のようなストーミング社会はいったんおいておいて もしもこの世に、映画館なる至宝の闇空間がなかったなら そこに、見せもの小屋のような存在がかえって繁盛するのかもしれない。 妖しげで希少価値のある場所。 そこに見合うプログラムだが、なにげなく禁断の匂いが立ち上りさえれば、 甘い樹液を求む昆虫たちのように、自ずと人は集まってくるかもしれない。 その際、真っ先にこの鈴木清順の出し物こそが 生き生きとその臨場感を醸し出してくれるであろうことはお約束できる。 実際に、プロデューサーのふとした思いつきで 巨大なテント会場での公開となったのが『ツィゴイネルワイゼン』なのである。 配給業者も興行者もいない、文字通りの芝居じみた興行こそが この映画の本質には相応しいのだ。

『ラムの大通り』 1971 ロベール・アンリコ映画・俳優

ロベール・アンリコ『ラムの大通り』をめぐって

粋な映画とは、このことをいうのだと言わんばかりの作品がある。 ロベール・アンリコ監督による『ラムの大通り』のことだ。 ベティちゃんこと、かのベティ・ブープ(元祖BB?)のモデルの1人 1920年代当時の“セックスシンボル”であった女優 クララ・ボウをイメージしたというのだが、 こちらもそのセックスシンボルの系譜で一世風靡した、 フランスの恋多き女優ブリジット・バルドー(こちらもBB)が リノ・ヴェンチュラを虜にしてしまう銀幕の女優として登場するのだ。

音楽

秋とともに、ミュージック実行委員会  MIDNIGHT編

だんだん昼が短くなってきたと痛感する今日この頃。 まだまだ冬は来てほしくないと思うのだが、 昼間の暖かさから、我に帰るかのように、 朝夕のぐっと冷え込んだ温度に、なぜだがほっとするのはなぜだろう? 昼に聞く虫の音と夜のそれではまったく違うのだ。 どこか、太古の記憶さえ地続きで引っ張り出されそうなほどに 秋の夜は、どこか記憶の奥深くに通底しているように思えてならない。

夜のにじみ音楽

秋とともに、ミュージック実行委員会  NOCTURN編

だんだん昼が短くなってきたと痛感する今日この頃。 まだまだ冬は来てほしくないと思うのだが、 昼間の暖かさから、我に帰るかのように、 朝夕のぐっと冷え込んだ温度に、なぜだがほっとするのはなぜだろう? 昼に聞く虫の音と夜のそれではまったく違うのだ。 どこか、太古の記憶さえ地続きで引っ張り出されそうなほどに 秋の夜は、どこか記憶の奥深くに通底しているように思えてならない。

ファンタスティック・プラネット 1973 ルネ・ラルーアート・デザイン・写真

ルネ・ラルー『ファンタスティック・プラネット』をめぐって

フランス人SF作家ステファン・ウルの原作『オム族がいっぱい』を元に、 ローラン・トポールのシュールレアリスティックな絵を ルネ・ラルーとともに映像化したカルトアニメーションである。 そして全編を覆うアラン・ゴラゲールのプログレ的電子サウンドによって、 なお一層カルト色を強めている。 我が国では宮崎駿などが多大な影響を受けており、 支配/被支配の構造、知識の取得・転用の描写、 他者性・異種存在から解放/共存といったテーマの流れは 『風の谷のナウシカ』にも顕著にとりこまれている。 元祖『進撃の巨人』などというキャッチが踊るが、 どちらかといえば、中世の異端画家ヒエロ二ムス・ボスが描いた 『快楽の園』の世界感にも比較され、そのほうが理解しやすいかもしれない。

《Return to Reason/リターン・トゥ・リーズン》 film by MAY RAY Music by SQÜRLアート・デザイン・写真

マン・レイのサイレント映画をめぐって

かれこれ、一世紀も前の人だが、ぼくはマン・レイのもつ自由さ、 永遠のアマチュアリズム、実験精神と遊び心を併せもった姿勢に 時代を超えて、すごく親近感をもってきた。 そのあたりは、“生粋の駄々っ子”たるマン・レイと賞賛しつつ、 すでに「マン・レイという芸術家」でその想いを綴った。 ここでは、そのマン・レイが残したサイレント映画を取り上げてみることにする。 それらの短編を、あのジム・ジャームッシュが 『RETURN TO REASON/リターン・トゥ・リーズン』として ジャームッシュ作品のプロデューサーでもあるカーター・ローガンとの2人組 音楽ユニット、スクワール(SQÜRL)が音をつけたプロジェクト映画だ。

Dream Guide to the music音楽

架空のサウンドトラック、夢先案内映画音楽特集

架空の映画サウンド・トラックといえば、 ムーンライダースの名盤『CAMERA EGAL STYLO/カメラ=万年筆』が 真っ先に思い浮かぶ。 いかにも映画好きによる、贅沢な趣向が反映されている。 まさにドストライクなラインナップがずらり並んでいる。 そのアルバムを筆頭に、シネフィルたちの夢を載せて、 そのテイストが滲み出る楽曲にスポットライトを当てて、 このコラムの最後を飾ろう。