雨月物語

溝口健二 1898-1956映画・俳優

サロン De 溝口健二

溝口映画を見終わったあとは、どっと疲れる。 実に重いのだ。 そう簡単には他人に勧められない重みがある。 同時に、その充実感、鑑賞の醍醐味は他にないものがある。 食い入るように見てしまうのだ。 やはり、これぞ巨匠の名にふさわしい格、そして魂に響く何かがあるのだろう。 その意味で、日本の映画史において、 ひとり好きな監督と言われれば、成瀬巳喜男といいたいところだが、 ぼくがもっとも敬愛する監督といわれれば、溝口健二なのである。 当然、その思いは映画作品を通して培ってきた感覚に他ならないが、 ここで語りたいのは、巨匠溝口の功績ではなく、 人間溝口を踏まえた映画作家溝口健二としての魅力なのだ。

雨月物語映画・俳優

溝口健二『雨月物語』をめぐって

その役は朽木屋敷に棲まう死霊であり、 話のなかで、そこだけしか登場しないにもかかわらず その存在感たるや、かなりインパクトの強い役柄である。 能面のようなメイクと艶やかなで陰影ある魔性の女。 相手が森雅之演じる陶工源十郎で 命からがら屋敷から逃げ帰るシーンが圧巻だ。 藤十郎が過ちを悔い、家に帰らせて欲しいと懇願するところへ、 老女と姫が狼狽し、クライマックスを迎える。 織田信長に滅ぼされた朽木屋敷の若い姫君の 哀しい思いを背負いながら、無念とともに消え去っていく情念。 老女毛利菊枝とのコンビにおける怨讐の恐ろしさは 昨今のホラーにはない、独自のムード、美意識を漂わせている。 まさに魔に憑かれた男の無常感がそこはかとなく漂う中 奇気たるまぐわいの宴の余韻が残る

ろぐでなし VOL3映画・俳優

ロピュマガジン【ろぐでなし】VOL3.

昔から怪談話といやあ夏の風物詩、と相場は決まってはいるのだが じゃあ、幽霊ってのは冬になればなったで冬眠する、 なんて話は一度だって聞いたことがないし、 ゾッとすると言う意味ではむしろ、真冬に聞く怪談ほど 臨場感というかなんというか、そそるものもあるまい。 凍えんばかりにガタガタ身を震わせ、血の気が引くなんてのは これがホントのゾッとする話と言わずしてなんであろうか? そんなくだらない話の枕はこのくらいにしておくとして、 『ろぐでなし』プログラムVOL3.では、一つホラー映画についての特集を 組んでみようと言うわけである。