増村保造『清作の妻』をめぐって
なんども観ても、この作品は素晴らしく、そして凄い。 戦争の茶番劇、メロドラマだとして甘くみるならば たちまち大火傷してしまうことになるであろう、 まさに愛をめぐる映画として胸打つ傑作である。 愛の純粋性が、狂気と表裏一体であることが核として描かれており それは表層の戦争批評への眼差しにもかぶってみえる。 が、テーマはそこにはない。 圧倒的なまでに、女の意志がみなぎっているヒロインで、 そこが彼女の本質ではないかと直感するがゆえに より、感動的なまでに感銘を受けてしまうのだ。 そんな『清作の妻』について書いてみたい。




