田村高廣

清作の妻 1961 増村保造映画・俳優

増村保造『清作の妻』をめぐって

なんども観ても、この作品は素晴らしく、そして凄い。 戦争の茶番劇、メロドラマだとして甘くみるならば たちまち大火傷してしまうことになるであろう、 まさに愛をめぐる映画として胸打つ傑作である。 愛の純粋性が、狂気と表裏一体であることが核として描かれており それは表層の戦争批評への眼差しにもかぶってみえる。 が、テーマはそこにはない。 圧倒的なまでに、女の意志がみなぎっているヒロインで、 そこが彼女の本質ではないかと直感するがゆえに より、感動的なまでに感銘を受けてしまうのだ。 そんな『清作の妻』について書いてみたい。

愛の亡霊 1978 大島渚映画・俳優

大島渚『愛の亡霊』をめぐって

『愛のコリーダ』の次に撮られた『愛の亡霊』もまた 一筋縄では通り過ぎようもない。 「官能の帝国」から、「情熱の帝国」へ。 引き続きアナトール・ドーモン出資アルゴスフィルム社による、日仏合作映画だ。 海外では、むしろ『愛の亡霊』の方が評価が高いという声さえ上がっているという。 それに同調するにやぶさかではない。 なるほど、スタッフは重複するが、トーンにはずいぶん開きがある。 単に姉妹作品、“二匹目のドジョウ”などでは断じてないのだ。

1965年 『兵隊やくざ』 増村保造映画・俳優

勝新スタイル2『兵隊やくざ』の場合

この勝新&田村高廣の天下の名コンビ、 大宮貴三郎と有田上等兵が繰り広げる 戦地でのドタバタコメディーは実に痛快極まりない活劇天国。 なんだか胸がすっとするだけでなく、大いに笑えますし、 ハラハラドキドキ、興奮いたしやした。 いやあ、至福の戦争映画、というと誤解されるところだが、 そういう縛りを抜きで見るべき映画なんだと思います。