浮雲

高峰秀子 1924-2010映画・俳優

高峰秀子小論法

そんな裏話はさておき、日本映画史において、「大女優」という響きが これほど曖昧で、同時に切実に感じられる存在が他にあるだろうか? 子役でデビューし、天才と謳われ 日本映画の隆盛期を支えてきた高峰秀子は華やかなスター街道を歩みながら とくに、“強き女”として記憶される女優ではなかった。 名だたる監督たちの元で、着実に映画産業を支えてきた一面と、 仕事に対する厳しさ、プロフェショナルを生涯失わなかった女優として その名を残した軌跡は、文字通り大女優とよんで差し支えない。 そんな高峰秀子という女優について、 ここでは、成瀬己喜男作品における高峰秀子をめぐって、 改めて書いてみたい。

浮雲 1955 成瀬巳喜男映画・俳優

成瀬巳喜男『浮雲』をめぐって

不倫関係にかぎらず、多かれ少なかれ、 男女関係というものの行く末は こうした一瞬の輝き、一瞬のときめきを求めて たとえ、結果がわかっていても、その甘美さの前には抗えず、 逃れられない人間の業そのものなのかもしれない、と思う。 ただ『浮雲』では、その深い業へのカタルシスが、 刹那にもとめる激しい肉欲でも、 官能を貪ることで満たすことはできないのだ、という、 そんなメッセージのような気配をも同時に読み取りうるのである。 こんな恋愛映画が日本にあったのだ。 そこは、日本人だからこそ、 理解しうるであろう男と女の駆け引きだからこそ、 よりいっそ愛おしいく思うのかもしれない。

ろぐでなし VOL.28特集

ロピュマガジン【ろぐでなし】vol.28

大げさなことではないはずだ。 奇をてらうことでもない。誇張するまでもない。 素晴らしき日本の鑑を再発見、再認識してゆこうというわけなのだ。 そんな思いから、まずは、日本映画の魅力に目を向けてみよう。 小津、黒澤、溝口、成瀬、木下・・・ 巨匠達はいざしらず、僕が好きで魅了されてきた 素晴らしき日本映画のソコヂカラを いまいちど、じっくりあじわってみたい。

高峰秀子映画・俳優

高峰秀子スタイル

かくいう自分も高峰秀子、通称デコちゃんの大ファンである。 好きな女優さんは他にたくさんいるけれど、 やはり、ちょっと格が違うのだ。 もの凄い美人でもないが、凛とした気品がある。 そのくせ、銀幕を離れると、意外にも家庭的、庶民的。 そのギャップもまた素敵だ。 いうなれば、飾らない、至ってナチュラルな女性像。 もちろん、会ったこともなければ、なんの繋がりもない。 数々の映画と残されたエッセイなどからの請負、 イメージだけの妄想にすぎない。 いや、妄想なんかじゃなくて、実際そういう人らしい。 それはエッセイなんかを読めばよくわかる。