大島渚

愛の亡霊 1978 大島渚映画・俳優

大島渚『愛の亡霊』をめぐって

『愛のコリーダ』の次に撮られた『愛の亡霊』もまた 一筋縄では通り過ぎようもない。 「官能の帝国」から、「情熱の帝国」へ。 引き続きアナトール・ドーモン出資アルゴスフィルム社による、日仏合作映画だ。 海外では、むしろ『愛の亡霊』の方が評価が高いという声さえ上がっているという。 それに同調するにやぶさかではない。 なるほど、スタッフは重複するが、トーンにはずいぶん開きがある。 単に姉妹作品、“二匹目のドジョウ”などでは断じてないのだ。

絞死刑 1968 大島渚 ATG映画・俳優

大島渚『絞死刑』をめぐって

大島渚の『絞死刑』はこんな風に始まる。 ほとんど誰もみたことのない風景が前の前にある。 (死刑をめぐる)問題作なのは言うまでもないが、 この先いったいどんな深刻なストーリー、 どんな恐ろしい結末が待ち構えているのか? 出だしからして緊張を強いられる映画である。 しかし、これは果たして死刑制度の是非をめぐる映画なのか? という疑問が次第にあらわになってくる。