大島渚

「少年」 1969 大島渚映画・俳優

大島渚『少年』をめぐって

よさこい節のフレーズにも入っている、高知のはりまや橋で ひとりの少年が行き交う車を見定め、身体を張ろうとしている。 ドライブレコーダー搭載の自動車が当たり前の現代社会に かつては当たり屋なんていうベタな稼業が横行していたのだと いまの若い人たちは知らないかもしれない。 いうなれば、詐欺である。 いちゃもんをつけ、カネをせびる。 かつて、反社なひとたちがよくやっていた手口だが それを家族をあげてやっていたという実話を映画化した作品で、 大島作品の中でもぼくが好きな一本『少年』である。

愛の亡霊 1978 大島渚映画・俳優

大島渚『愛の亡霊』をめぐって

『愛のコリーダ』の次に撮られた『愛の亡霊』もまた 一筋縄では通り過ぎようもない。 「官能の帝国」から、「情熱の帝国」へ。 引き続きアナトール・ドーモン出資アルゴスフィルム社による、日仏合作映画だ。 海外では、むしろ『愛の亡霊』の方が評価が高いという声さえ上がっているという。 それに同調するにやぶさかではない。 なるほど、スタッフは重複するが、トーンにはずいぶん開きがある。 単に姉妹作品、“二匹目のドジョウ”などでは断じてないのだ。

絞死刑 1968 大島渚 ATG映画・俳優

大島渚『絞死刑』をめぐって

大島渚の『絞死刑』はこんな風に始まる。 ほとんど誰もみたことのない風景が前の前にある。 (死刑をめぐる)問題作なのは言うまでもないが、 この先いったいどんな深刻なストーリー、 どんな恐ろしい結末が待ち構えているのか? 出だしからして緊張を強いられる映画である。 しかし、これは果たして死刑制度の是非をめぐる映画なのか? という疑問が次第にあらわになってくる。