今村昌平『復讐するは我にあり』をめぐって
映画版『復讐するは我にあり』では、 緒形拳扮する榎津巌という殺人鬼が 実話を元に書かれた原作に基づき 別解釈を加えられ、映像化された作品だと断言できる。 原作は、丹念に事実を洗い出し、その被害者側の視点にたって この榎津巌という人間像をあぶり出そうとする話だったが、 ここではさらに、原作と映画はあきらかな別物、という視点にたって この問題作をみなおしてみた。
映画版『復讐するは我にあり』では、 緒形拳扮する榎津巌という殺人鬼が 実話を元に書かれた原作に基づき 別解釈を加えられ、映像化された作品だと断言できる。 原作は、丹念に事実を洗い出し、その被害者側の視点にたって この榎津巌という人間像をあぶり出そうとする話だったが、 ここではさらに、原作と映画はあきらかな別物、という視点にたって この問題作をみなおしてみた。
西川美和による『すばらしき世界』は 佐木隆三による小説『身分帳』という原案からの映画化である。 そうした失敗者、元ヤクザの男が刑期を終え出所後 この社会でどういきてゆくのか、 周りの人間たちの反応とともに、 そうした世間の冷たい視線を浴びながら 生きてゆこうとする男のあがきその様子が描き出されている。