リメイク

蛇の道 2024 黒沢清映画・俳優

黒沢清『蛇の道』をめぐって

そのセルフリメイク版は、その名のごとく、一本の直線ではなく、 くねり、迷い、絡まりながら進む不可解な道のりを辿る映画であり、 不条理なドラマである。 1998年のオリジナル版は、ジャンル映画の装いをまとった、 玉石混交のVシネの自由さと制約の狭間に 生理的な不快感をともなう構造的サスペンスを持ち込んだ。 2024年のリメイク版は、その構造さえ疑いながらも、 舞台をパリに移しての、新たな喪失と空白を埋める物語を演出している。

IRMA VEP 1996 Olivier Assayas映画・俳優

オリヴィエ・アサイヤス『イルマ・ヴェップ』をめぐって

オリヴィエ・アサイヤスによる90年代フランスにおける 伝説の怪作『イルマ・ヴェップ』もまた、 フェリーニの『81/2』やゴダールの『パッション』、 ヴィム・ヴェンダースの『ことの次第』 あるいはキアロスタミの『そして人生は続く』や『オリーブの林をぬけて』同様、 映画制作の現場〜舞台裏を描くメタフィクション映画だが、 比較的わかりやすく、とっつきやすい作品と言えるのではないだろうか? などと思うには思うが、とくにドラマティックな映画というわけでもなく、 また、ことさらにストーリーを追う映画でもない。 いうなれば、ポストヌーヴェル・ヴァーグな映画であり、 目に入れて愛でる映画、でもある。