フェデリコ・フェリーニ『8½』をめぐって
よって、サーカス、そして祝祭的な人間讃歌がそこにあるのだとして フェリーニ映画を代表する作品、という認識は間違いではない。 人、状況、そして自らの創造性(芸術性)、 こうした映画作りの現実を前に、さんざん困惑し、もがき、苦悩し、 にっちもさっちもいかない袋小路な状況下にまでおいやられながら 結局は、ラストシーンで、出演者が手をつなぎ、 「人生は祭りだ、共に生きよう」と結ぶフェリーニ的映画の帰結の流れが 心の底からフェリーニ的映画人生のイメージに寄り添い、 われわれをいかにも陶酔へと誘い、 これみよがしに包み込んでくれる作品には、感動の言葉こそが似つかわしい。