ミツバチのささやき

瞳をとじて 2023 ヴィクトル・エリセ映画・俳優

ヴィクトル・エリセ『瞳をとじて』をめぐって

だれでも忘れられない映画というものがある。 ぼくにとって、ヴィクトル・エリセの『ミツバチのささやき』は そんな記憶に生き続ける一作品である。 スペインの映画作家ヴィクトル・エリセにとって、デビュー作であり 以後、約10年のスパンでポツポツと作品を撮りながら、 ここ約30年の歳月の沈黙を経て、完成させた『瞳をとじて』 満を持して、この寡黙な作家がようやくスクリーンに帰ってきてくれた。 今年83歳を迎えるエリセにして、長編4作目。

こちらあみ子 2022 森井勇佑映画・俳優

森井勇佑『こちらあみ子』をめぐって

そこで森井勇佑による『こちらあみ子』の話になるのだが、 こちらは紛れもなく傑作だった。 あみ子役の大沢一菜は実に強烈な個性の持ち主だ。 監督や周囲の思い入れもよくわかる。 しかし、ただ子役がいい映画というわけでもなく、 一本の映画としても、心に刺さるものがあった。 その意味では、冒頭の子役映画の罠にもってかれない映画だといえる。