アレクセイ・ゲルマン『フルスタリョフ、車を!』をめぐって
ただし、一言で片付けるなら、なんじゃこりゃ? 理解しようとする思いがことごとく粉砕される。 次第にその狂騒劇のようなばかばかしい魅力に悪酔いしまうだけなのだ。 圧倒的なまでのエネルギー。 物語を追う意味はない。 いや、どうにもこうにも追いきれんのだ。 このはちゃめちゃぶりを素直に受け止めるべし。 恐るべしやロシア帝国。 いや、おそるべしはゲルマンか。 カンヌでの上映の際には ことごとく観客を離脱させてしまったものの、 あのスコセッシが「何が何だかわからないが、すごいパワーだ」といったとか。