カトリーヌ・ドヌーブ

『昼顔』1967 ルイス・ブニュエル文学・作家・本

ルイス・ブニュエルの『昼顔』をめぐって

『昼顔』では、まさにそんなドヌーブの艶を 単なるエロティシズム以上のものとして漂わせている。 美しい肉体と品のある眼差し、そしてモード。 この時ドヌーブ24歳。 すでにロジェ・ヴァディムとの恋、そして出産、 そして姉フランソワーズの死を実生活で受け止めながら、 まさに女としての艶が開花してゆくドヌーブは すでにこの映画的な官能のムードを ナチュラルに作り上げているのは素晴らしい。

Repulsion 1965 Roman Polanski映画・俳優

カトリーヌ・ドヌーブスタイル『反撥』の場合

ロマン・ポランスキーの『反撥』は オープニングから、不安に怯えるドヌーブの大きく見開いた目が 恐怖を誘導してくる。 まるでヒッチコックのサスペンスのように扇動的だ。 だが、ホラーでもスリラーでもなく、 むしろ“恐怖という現象の内部に入り込んだ映画”というべきであり、 外界が主人公を脅かす、そんなあからさまな悪は一切出てこない。 彼女自身の内側で膨張し、伸び、ひび割れ、世界を侵食していく何者か、 その異様な力学によって、古いアパートの一室は、 人間の精神の奥深くに開いた “暗い裂け目”のような空間へと変貌する異質な映画だ。