バーバラ・ローデン『ワンダ』をめぐって
ボタ山を歩く、米粒のように小さな一人の女をロングで捉えたショット。 彼女は数少ないであろう知り合いに金の工面をしようと向かうのだ。 よくみれば、頭にカーラーをつけたままである。 彼女は一応子持ちの主婦のようだが 家事をやらない、子育てもしない、飲んだくれている。 何かにつけ、覇気がない、いってみればオツムもちょっと弱いような女でさえある。 昔なら、こういうタイプの男は結構いた気がするが、 女というだけで、下げずまれる社会と時代背景のなかで 彼女は社会の周辺で、かろうじて生きている。 そんな女をヒロインにすえた一本の映画が『WANDA』である。